ニュースイッチ

外食産業、「居酒屋」一人負けはいつまで続く?

3カ月連続マイナス、店舗数減が響く
 日本フードサービス協会によると、3月の外食市場の総売上高は前年同月比4・6%増だった。月後半に気温が上昇して暖かい日が続き、花見需要での売り上げが伸びた。土曜日が前年より1日多い曜日まわりも押し上げ要因となった。総売上高が前年同月を上回るのは、19カ月連続だ。

 一方、各業態の中で「パブ・居酒屋」は同2・0%減で、3カ月連続のマイナスと一人負け状態。年度末の送別会や花見の需要はあったものの、居酒屋の店舗数減少が響いている。

 外食全体の客数は同3・0%増で5カ月連続のプラス。土日を中心に伸びた。客単価は同1・5%増だった。

 そのほかの業態ではファストフードが同5・7%増。日本マクドナルド(東京都新宿区)が夜間に実施している増量キャンペーンが売り上げに貢献した。一部企業が原料高による価格改定を実施した点も響いた。持ち帰り米飯や回転ずしの企業では、花見需要が拡大したという。

 ファミリーレストランは同4・2%増。洋風メニューを展開する企業では、店舗限定の特別メニューや高付加価値型のメニューが人気で、客単価を押し上げた。焼き肉店では、春休みのファミリー需要も取り込み好調が続いている。

 足元の外食産業は総じて堅調だが、帝国データバンクによると、2017年の外食関連業者は倒産件数は前年比26・9%増の707件と、過去最多だった。倒産した外食関連業者を業種別にみると、「酒場・ビヤホール」が133件で最多。これについて、ある食品業界関係者は「昨年6月の酒税法の改正の影響」を指摘する。

 昨年の酒税法改正では行き過ぎた廉価販売が規制され、「酒類の仕入れ価格は上昇し卸業者の採算が改善しているケースもあるが、飲食店にとっては厳しい。鳥貴族の値上げも話題になっていますね」と居酒屋の倒産増加について分析する。

 
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
倒産した外食関連業者の9割近くは「販売不振」が要因だったが、今後は、人手不足による倒産増加も要注意。

編集部のおすすめ