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私大は自ら連携・統合を考えていくべきだ!

日本私立大学連盟が提言
 日本私立大学連盟(私大連、鎌田薫会長=早稲田大学総長)は、私大の連携・統合は地域ニーズと教育の多様性を重視して、自らが主体的に進めるべきだとする提言をまとめた。政府の指導や公費により、経営難の私大を合併したり公立化したりする方策が優先ではない、としている。私大連が再編についての方針を明らかにしたのは初めて。

 今回まとめた提言「未来を先導する私立大学の将来像」では大学間連携に向けて、私大それぞれの特色や重要な役割を把握し、地域の学部・学科の重複を避けたすみ分けが重要だとしている。

 人材育成の多様性が存在意義である私大において、国が思案する類型化はなじまないとみる。その上で国立、公立、私立を超えて単位互換や教員を共有する仕組みなど進め、規模効果(スケールメリット)と学生の選択肢増で多様性をさらに向上させる。この方向性の中で、私大自らが連携・統合を考えていくべきだと強調している。

 私大連の加盟は都市部・大規模大学が中心だが、経営難に直面する地方・中小規模大学を含め、同提言を私大自らの姿勢として位置付けようとしている。
日刊工業新聞2018年4月26日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
私大には学生の8割が所属しており、どのような人材像を育成するために設立されたかという「建学の精神」をはじめ、”多様性”がキーワードだ。国公立大であれば国・自治体の政策に沿って、必要性が薄いと判断されれば再編・統合が誘導されるのも致し方ない面がある。しかし私立大は、運営費の1割が国からの資金と、公的依存度が低い。それだけに、十派一絡げにされてはたまらない、との意識がある。私大連の今回の報告書を「(各)私立大が進むべき方向性を、私立大(の連盟が)自らが示す」という鎌田薫会長(早大総長)の思いを、前向きに受け取りたい。

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