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IoTの先進中小企業、システムの外販はすでに50社以上

小林製作所。職人の技能伝承を“自社開発"
IoTの先進中小企業、システムの外販はすでに50社以上

梱包作業もカメラで詳細に記録し、出荷時の品質保証にも役立てている

 IT先進中小企業として、その名が知られる小林製作所(石川県白山市)。精密板金加工が主力の同社は、カメラを活用して生産現場のデータを蓄積するIoT(モノのインターネット)システムを自社開発し、生産性向上や品質安定化などで効果を上げている。評判は自然と社外に広がり、システムの外販でも50社以上への納入実績を持つ。

 同社がシステム開発に乗り出した背景には、技能伝承に対する危機感がある。「工場の中を知り、職人技が分かる人材」(小林社長)を育てるにはどうしたらいいか―。もともとIT導入に力を入れていた同社が考案したのが、カメラを活用したIoTシステムだった。

 開発したシステムはコマ撮りで撮影するのが特徴。画像ファイルは低容量のJPEG形式で膨大なデータを蓄積できる。現場の一連の作業を保存し、人材教育のマニュアルに活用したり、生産量の多い日と少ない日、作業の早い人と遅い人を比較し、改善に生かしたりしている。

 現在、社内では200台以上のカメラが稼働し、受注から出荷までを画像データで把握する仕組みを構築。梱包作業も詳細に記録しており、製品のキズの有無など出荷時の品質保証にも役立てている。

 当初は社内のみで運用していたが、評判を聞きつけた社外からの要望に応え「Sopak―C(ソパックシー)」として2012年から本格的に外販を開始。17年からは販路拡大のため生産管理ソフトなどを手がけるテクノア(岐阜市)と提携。テクノアの同ソフトと連携させ、より詳細なトレーサビリティー(履歴管理)が可能となる。
日刊工業新聞2018年4月19日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
小林製作所とテクノアは3月8日に小林製作所の工場見学会を開催。訪れた多くの参加者は、システムの説明を熱心に聞き入っていた。こうした機会も活用して導入メリットを訴求し、システムの拡販につなげる。 (日刊工業新聞者金沢支局長・本荘昌宏)

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