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食品小売の倒産増加、地域密着型の落とし穴

業績悪化の原因、実は過去の設備投資に
 食品小売業者の倒産が増加している。2017年の食品小売業者の倒産件数は、前年比20・3%増の314件と、4年ぶりに増加に転じている。1月17日に破産手続き開始決定を受けた食品スーパーの須崎スーパーストアも、そうした食品小売業者のひとつだ。

 設立は63年1月。地域密着型のスーパーストア「ライフタウンYUTAKA」などを運営し、鮮魚、青果、食肉などを中心に酒類、菓子、日用雑貨品なども取り扱っていた。

 80年前後には多店舗展開に乗り出し、その後も買収や新店舗の出店、関係会社設立によるホームセンターの出店など事業を拡大。02年頃には70億円近い売上高を計上していた。

 だが、中には投資に見合った採算を維持できない店舗もあったようだ。こうした状況の中、その後は周辺人口の減少や同業他店の進出に伴う競合などから売り上げの減少が続いた。

 損益面でも03年頃を境に赤字に転落したとみられ、金融機関からの借り入れに頼った経営を余儀なくされるようになった。

 経営改善を目指してコンサルティング会社と契約するなどしたものの、16年3月期には売上高は約19億円にまで落ち込んでいた。

 不採算店舗の閉鎖などを進めてきたが、不採算店の売却が進まず収益改善は思うように進まなかった。何とか営業継続を模索していた中、代表取締役の健康状態の悪化から事業継続は困難となり、16年12月末に事業停止を余儀なくされた。

 食品小売業者の倒産が増加する中で、特に目立つのが過去の設備投資負担が重荷となって経営が立ち行かなくなるケースだ。業績拡大を狙った設備投資が、その後の経営環境の変化で一気に足かせとなる。

 現在の業績悪化の原因は、実は過去の設備投資にあった。こうして倒産する食品小売業者が少しずつ増えてきている。
(文=帝国データバンク情報部)
<企業概要>
(株)須崎スーパーストア
住所:高知県須崎市西糺町4−18
代表:中平誠介氏
資本金:1000万円
年売上高:約19億円(16年3月期)
負債:約15億9400万円
日刊工業新聞2018年4月17日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
食品販売は「ドラッグストアvsコンビニ」の競争激化で比較的小規模のスーパーもますます生き残りが難しくなっていくだろう。

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