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世界最高水準のエリートを育成する「卓越大学院プログラム」が動き出した

文部科学省が公募開始
 文部科学省は2018年度の新事業で、世界最高水準の5年一貫の博士教育を行う「卓越大学院プログラム」の公募を始めた。補助期間は7年間で、補助金額が次第に減り最終年度は初年度の3分の1となる。これに対応した資金計画の提出が必要で、産業界の支援獲得など、大学が総力を挙げた大学院改革となりそうだ。申請受け付けは6月4―6日で、採択は9―10月の見込みだ。

 卓越大学院は、産・学・官などあらゆるセクターを率いる人材養成に向けた、博士前期・後期課程の一貫プログラム。企業や海外一流機関、他大学など学内外連携が必須だ。

 さらに事業の補助期間終了時に自立するよう、予算が漸減となった。補助以外の学内外資金を初年度から導入し、中間評価の4年度目には全体の半分を、最終評価の7年目には3分の2を大学側が用意する。現金以外の現物寄付(現金換算できる資源)も算定対象だ。

 そのほか主要内容は日本学術振興会が17年12月にまとめた最終報告の通り。25日に東京都千代田区の文科省内で公募説明会を開催する。
日刊工業新聞2018年4月13日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
公募開始時期が遅れた(当初は2月あたりと見られていた)理由は、この特徴的な予算の使い方で、文科省と財務省の協議が長引いたためだったという。これまで「国の予算での支援終了後は、大学で自立を」とされながら、各大学は果たせず、活動を大幅縮小や停止しているケースが少なくなく、問題視されていた。それだけに「卓越大学院ではそれは許さない。強い意志を持って学外からの資金支援を獲得し、学内の身銭を切って臨んでもらわなくては」という強いメッセージを感じる。予算が激減していくという内容以上に、これほど踏み込んだ形で国は迫ってくるという点で、衝撃的だと感じた。

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