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虎ノ門ヒルズ、大規模災害時の情報取得を万全に

森ビルが独自の災害時情報配信システムを導入
虎ノ門ヒルズ、大規模災害時の情報取得を万全に

施設内に設置するモニター。帰宅困難者などに必要な情報を配信する

 森ビルは大規模複合施設「虎ノ門ヒルズ」(東京都港区)に独自の災害時情報配信システムを導入し、順次運用を始めた。地震などの大規模災害が発生した際に、館内のモニターや、来街者が持つスマートフォン、施設内のテレビなどを通じて必要な情報を配信する。エリア放送やWi―Fi(ワイファイ)といった複数の通信手段を駆使し、必要な情報を確実に届ける。

 虎ノ門ヒルズ内の防災センターに自治体や警察、消防、交通機関などからの情報を集めて配信する。災害時に設置する館内のモニターでは、帰宅困難者を含めた来街者が見ることを想定し、災害情報や周辺の交通情報、備蓄品の配布に関する情報などを日本語と英語で提供する。スマートフォンや施設内のテレビ放送向けには、虎ノ門ヒルズに設置した防犯カメラの画像なども流す。

 館内モニターでの情報配信には一般的なテレビ放送で使われる方式を採用した。施設内に設けたアンテナ設備から微弱な電波を流して通信する方式で、通信回線が混雑してつながりにくい状況(輻輳(ふくそう))が起こらない。

 施設内のオフィスと住居には、平常時もテレビ放送の形で情報を流す。虎ノ門ヒルズ内のイベント情報や、日常生活に必要な多くの情報をテレビ放送を通じて得られるようにする。視聴の習慣付けで災害時のスムーズな情報伝達につなげる。今後は2019年度に完成予定の「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」など、虎ノ門エリアで同社が開発を進めている再開発ビルに順次導入する。

 一方では異なるエリア同士をつなぐ、より広範囲におよぶ情報連携の仕組みの検討にも着手している。
日刊工業新聞2018年4月11日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
森ビルは「災害時に逃げ込める街づくり」を標榜し、高層ビルなどの災害対策を推進しています。その中で虎ノ門ヒルズは約3600人の帰宅困難者を受け入れられるとか。災害大国日本において、超高層ビルは、地域の防災拠点としての機能が不可欠になっています。

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