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生活習慣病の“特効薬”はIoT?

ウェアラブル端末など活用、経産省が仕組み構築へ
生活習慣病の“特効薬”はIoT?

生活習慣病を予防する

 経済産業省は、健康や医療情報により個人の生活習慣を変えようとする事業の対象を広げる。高血圧や高脂血症などの生活習慣病、介護予防分野で活用するよう検討を始める。従来は糖尿病のみを対象にしていた。健診データやレセプト(診療報酬明細書)データに基づき、対象者に改善策を助言・指示する仕組みを構築し、医師などの指導(介入)によって行動や生活の習慣を変えるよう支援する。

 4月中旬にも日本医療研究開発機構(AMED)を通じて公募する予定。ウエアラブルデバイスなど、IoT(モノのインターネット)を用いて取得した個人の健康情報を基に、行動変容を促すことで、病気の予防や介護予防などに関する科学的なエビデンス(根拠)確立を目指す。その上で、効果的に介入するビジネスモデルの創出につなげる。

 例として高血圧や高脂血症などを想定。例えば高血圧症では、高血圧予防には減塩が有効なため、食事に含む食塩の量を推定できるIoTデバイスの活用が期待できる。

 経産省は、これまでにウエアラブル端末から取得した情報を活用し、糖尿病分野を対象に重症化予防や改善を図る実証研究を実施。糖尿病の診断指標である「HbA1c」についてウエアラブル端末などで対象者のデータを取得。医師などと情報を共有しながら、対象者の状態に合った介入を実施するサービスの効果を検証している。
日刊工業新聞2018年4月10日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
厚労省がリードする話のように見えるが、遅々として進まない同省のイニシアチブに対して、経産省がデータドリブンのビジネスモデル創出を仕掛けた形か。 ライフログを継続的に取得して生活や行動様式を改善するためには、把握しにくい飲食のデータをいかにして効率よく取り込むかがカギになる。 複数事業者が連携しないと実現しないモデルだけにプランの精査についてはそのような視点も取り入れてほしいものだ。

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