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クルマの動力伝達技術、高度化へ産学官がオールジャパンで挑む

基盤技術領域を対象に共同研究
クルマの動力伝達技術、高度化へ産学官がオールジャパンで挑む

アイシンAWが開発したHV、PHV向けの「ワンモーターハイブリッドトランスミッション」(写真はイメージ)

 自動車業界と経済産業省の連携により、動力伝達技術の高度化に向けた新プロジェクトが動きだす。トヨタ自動車、日産自動車、アイシン・エィ・ダブリュ(AW)など完成車と変速機のメーカー11社で技術研究組合を発足。大学とも協力し、低燃費化など動力伝達に関する共通課題に産学官で挑む。電動化や自動走行の開発進展などで業界が激変する中、企業単独では限界があるため、協調領域での連携体制を構築する。これにより、業界内で水平分業の流れが加速しそうだ。

 新組織「自動車用動力伝達技術研究組合(TRAMI)」の発足式を5月に開き、活動を始める予定。ホンダ、スズキ、ジヤトコなども参加し、オールジャパン体制を敷く。

 東京理科大学、横浜国立大学、千葉工業大学などと連携し、変速機周りの機械損失・流体損失など、動力伝達の基盤技術領域を対象に共同研究を進める。研究で得られたデータは組合で蓄積・共有し、成果を最大化する。大学と組むことで次世代人材の育成にもつなげる。

 自動車の動力伝達技術は低燃費化などで日本が強みを持つ。ただ環境性能要求などにより、さらなる高度化が求められている。また、電動化などの影響で部品のあり方も変わる可能性がある。急速な変化に対応するため、業界各社は協調領域の連携が必要と判断し、TRAMIの発足を決めた。
 
 
日刊工業新聞2018年4月6日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
2014年には完成車各社が、内燃機関の共同研究のため自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)を発足。TRAMIの立ち上げはこれに続く動き。

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