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「コンプラ違反」倒産、粉飾会計が急増

上場企業で不適切な開示目立つ
 コンプライアンス違反による倒産が増加している。東京商工リサーチによると、2017年度(17年4月ー18年3月)の「コンプライアンス違反」が一因となった倒産は前年度比8・9%増の195件と、3年ぶりに前年度を上回った。中でも虚偽の決算書や不適切な会計処理などの「粉飾」が前年同期比2・5倍の25件と増勢ぶりが目立つ。

 最近ではコンプライアンス意識の浸透から、「違反」での企業の経営破綻の表面化は減っていた。だが、大手に比べて、中小企業の業績回復のスピードが遅いことを要因として増加に転じた。

 さらに17年度は、欠陥エアバッグ問題で製造業では戦後最大の大型倒産となったタカタや被害者が全国に広がった磁気治療器の預託商法のジャパンライフ(東京都千代田区)、学校法人「森友学園」(大阪市淀川区)など話題になった倒産も多かった。

 負債総額は、同16倍増の1兆8775億円と大幅に膨らんだ。タカタが1兆5024億円と、ジャパンライフが2405億円と、2社の大型倒産が大きく影響している。

 「粉飾」以外の違反内容では、滞納や脱税など「税金関連」で前年同期比6・1%増の69件で最多となった。次いで、建設業法や医師法などの業務などの業務違反や代表者の逮捕などを含む「その他」が同17・7%減の65件。

 倒産に至らなくても不適切な会計を報告する上場企業も増えている。商工リサーチによると、2017年(1ー12月)に不適切な会計・経理を開示した上場企業は53社。調査を始めた08年の25社から2倍以上だ。

 中でも東証1部上場の増加が目立ち、17年は調査開始以来、最多の30社だった。

 上場企業は国内市場の成熟化で各産業とも売り上げ拡大を海外の事業展開に求めている。

 だが、商工リサーチは、営業網の拡大でグループ各社へのガバナンス(統治)が行き届かず、不適切会計の開示に追い込まれる企業が少なくないと指摘。事業のグローバル化でガバナンスが機能しなくなったほか、会計処理の高度化や現場の人手不足が背景にあり、こうした状況が改善できない場合、今後も不適切会計が増えそうだ。
日刊工業新聞2018年4月6日の記事に加筆
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
07年の内容別では、経理や会計処理のミスなどの「誤り」が28社で最多となった。次いで、架空売り上げの計上や水増し発注など営業ノルマの達成を推測させる「粉飾」が14社、役員や社員による「着服横領」が11社だった。

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