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港湾倉庫をIoT化したら出庫の作業時間が2割短縮した

住友倉庫が新システム開発
港湾倉庫をIoT化したら出庫の作業時間が2割短縮した

配送センター内のコンベヤー

 住友倉庫は、IoT(モノのインターネット)技術を用いた倉庫の管理を始めた。モバイル通信網を活用し、タブレットなどの端末機器上で出入庫や在庫状況を一元的に把握する。端末や関連機器などがあれば利用でき、全体の導入費を比較的安価に抑えられる。倉庫や物流網など多様な場面への応用を目指す。

 出入庫や在庫状況を一括で管理するシステム「i―Warehouse(アイウエアハウス)」を開発し、自社の港湾倉庫に導入した。倉庫作業員は、小型スキャナーを片手に装着。荷物のバーコード情報を読み取ると、近距離無線通信規格「ブルートゥース」を通してスマートフォンなどの端末機器と情報を共有する。

 出庫時には、携帯プリンターで端末機器から送られた情報を納品書として印刷し、荷物へ貼り付ける。一連の作業に必要な機器1セット当たりの導入費は約35万円に抑え、現在は6セット活用している。従来の紙媒体での管理に比べ、全体の作業時間を約20%短縮した。

 これまで、港湾では事務所から庫内へ紙伝票を手渡しして作業をはじめ、完了時には作業員が一覧表に確認印を記入する必要があった。そこで、事務所と倉庫の往復時間を短縮するほか、正確な在庫状況を事務員と作業員が把握し、顧客と即時的に共有できる仕組みの構築を図ってきた。

 1月に作業服などを取り扱う大阪市住之江区の港湾倉庫へ、アイウエアハウスを導入した。今後は、モバイル通信網を活用して、倉庫内に限らず、国内外の拠点や運送トラックへも適用し、拠点ごとの出入庫や配送状況を遠隔で管理できるようにする。さらに、蓄積した物流情報を顧客に提供することも検討していく。

 同社は1971年に自動ラックを導入して以降、多くの配送センターでコンベヤーラインや自動仕分けソーターなどを活用し、作業効率を上げてきた。貨物取り扱いを通じた管理ノウハウを生かし、顧客物流を最適化、市場競争力向上へ取り組む。(大阪・中野恵美子)
日刊工業新聞2018年4月4日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
住友倉庫は1971年に自動ラックを導入して以降、多くの配送センターでコンベヤーラインや自動仕分けソーターなどを活用し、作業効率を上げてきた。貨物取り扱いを通じた管理ノウハウを生かし、顧客物流を最適化、市場競争力向上へ取り組む。 (日刊工業新聞大阪支社・中野恵美子)

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