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ドコモ、KDDIがAI活用で狙う〝売り方改革〟とは?

動画配信や物販などデータ分析で最適サービス提案
 携帯電話大手が動画配信や物販などのサービスで“売り方改革”に乗り出す。NTTドコモは5月にも顧客管理の仕組みを刷新する。顧客とその行動履歴データを連動させ、それぞれの顧客の趣味趣向から最適と思われる情報をウェブなどで配信する。KDDIは2018年度中に顧客の行動予測モデルの精度を高め、サービスと連携させる提案販売の強化に着手する。携帯電話市場が成熟する中、顧客データを活用した非対面の“デジタル接客”を強化し、サービスの利用継続と顧客獲得を推進する。

 ドコモは顧客の購買や決済データを取り込んだ「顧客理解エンジン」搭載のシステムを稼働させる。顧客の年齢や性別などの属性情報に基づいて管理し、自社のポータルサイトやメッセージ、プッシュ通知、人工知能(AI)エージェントを通じて提供するサービスに誘導する。

 例えば雑誌読み放題サービス「dマガジン」で旅行雑誌を閲覧すればインターネット通販サイト「dショッピング」の旅行グッズの情報を配信したり、AIエージェントで端末の画面上に登場する指南役が便利な情報を提供するサービスを展開する。

 KDDIは顧客データの種類を増やし、AIでユーザーの行動予測を高度化。ネット通販サイト「Wowma!(ワウマ)」で家電の閲覧が多ければ引っ越しの可能性があると予測し、例えば自社の電気料金プランを訴求したりする。

 また両社はユーザーの行動をより把握することで適切なメッセージ配信などにも役立てる考え。配信数やタイミングを工夫し、顧客に不快感をもたれないようにメッセージを配信していく。

 携帯大手はコンテンツや電気、保険、金融など通信以外の商材・サービスの取り扱いが増えている。顧客データを有効活用したチャンネル開拓で提案の幅を広げ、顧客を囲い込む。
日刊工業新聞2018年4月4 日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
携帯大手に限らず、通信・IT業界では顧客基盤を活用して金融などの非通信分野のサービスを提供する体制作りが大きなトレンドになっています。今後の競争軸は各サービスのデータ連携による提案力になっていくのでしょうか。

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