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リーマン後で飲食産業は過去最高に。その中で「一人負け」の業態とは?

「居酒屋・パブレストラン」は最低水準更新
リーマン後で飲食産業は過去最高に。その中で「一人負け」の業態とは?

ファーストフード店は成長をけん引

 第3次産業活動指数や鉱工業生産指数等のデータから、飲食料品関連のデータを集めて、飲食関連産業の動向を指標化した「フード・ビジネス・インデックス(FBI)」のうち、飲食サービス業指数の2017年第4四半期(10ー12月)の結果を紹介する。

 2017年第4四半期の飲食サービス業指数は103.9、2四半期ぶりに前期比0.3%上昇となった。同年第3四半期は前期比低下とはなったが、2016年第1四半期をボトムとする回復・上昇基調の推移が続いている。

 2016年は年初の急落から前年比マイナスだったが、その後継続的な上昇を見せたことから、2017年通年の飲食サービス業指数は、2年ぶりに前年比1.4%プラスの上昇となった。

 指数水準は103.5で2008年の107.2以来、つまりリーマンショックによる世界的な経済規模の縮小以降で、最も高い値となった。

 実は、2017年第4四半期の指数値103.9も2008年第4四半期の105.0以来となる高水準であり、2017年第4四半期の飲食サービス業には勢いがあったということができると思う。

 なお、第4四半期の業態別のフードビジネス全体の変化に対する各業態の影響度合い(寄与)をみると、FBI計の前期比0.9%上昇に対し、飲食サービス業の上昇寄与は0.1%ポイントに留まり、食料品工業、食料品流通業ともにプラス寄与であったことから、フードビジネス全体に対するプラスの影響は限定的だった。
                

 飲食サービス業の内訳それぞれの推移をみると、「ファーストフード店及び飲食サービス業」は2四半期ぶりに上昇となり再び最高水準を記録した。

 また、「食堂、レストラン、専門店」も2016年第3四半期から、横ばい(2017年第2四半期)を挟んで6四半期連続でマイナスがなく最高水準を更新した。「喫茶店」は2四半期連続の上昇で、2008年第2四半期の107.1以来の高水準となった。これら3系列は、ここ数年で最も高い水準に順調に到達している。

 他方、2017年前半までのダウンスロープが緩やかになって横ばいから微増に転じていた「パブレストラン、居酒屋」は、2四半期連続の低下となり再び低下傾向を見せ始めているようだ。その指数値71.9は第3四半期に続き、最低値を更新した。

 今期も「パブレストラン、居酒屋」業態の「1人負け」の様相は続いているようだ。

ファーストフード店がけん引


 2017年第4四半期の飲食サービス業の前期比0.3%上昇に対する内訳系列の影響度合いを見てみると、一番影響を及ぼしたのは、「ファーストフード店及び飲食サービス業」で0.4%ポイント、次いで「食堂、レストラン、専門店」は0.11%ポイント、「喫茶店」は0.08%ポイントの上昇寄与だった。

 他方、前期比低下となった「パブレストラン、居酒屋」はマイナス0.3%ポイントの低下寄与と前期に引き続き大きな影響を及ぼしていたことが分かる。

 2017年第4四半期の飲食サービス業指数の上昇は、「パブレストラン、居酒屋」の低下寄与分以上に、「ファーストフード店及び飲食サービス業」をはじめとした残りの3業態の上昇寄与が大きかった(好調だった)ということになる。

 昨年2016年は前年比マイナスだった飲食サービス業全体だが、2017年は一昨年2015年のレベルを超え、再びリーマンショック以降で、最も高い値となった。

 ただ、本年第3四半期は6四半期ぶりに低下となっており、下げ止まりの様相を見せていた「パブレストラン、居酒屋」が再び連続低下となったほか、ウェイトの大きい「食堂、レストラン、専門店」の勢いが今一歩というところが気になる。
               

訪日外国人の外食需要は旺盛


 何かと話題の訪日外国人によるインバウンド消費だが、飲食サービス業の分野においても、顕著な動きを見せている。2017年の飲食サービス業指数は前年比1.4%上昇だったが、その上昇に対し、訪日外国人の飲食費指数が0.9%ポイントの上昇寄与を見せた。それ以外、すなわち日本の居住者分も0.5%ポイントと4年ぶりのプラス寄与を見せはしたが、2017年の飲食サービス業にとって、いかにインバウンド消費需要が重要なものであったかが分かる。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
今年の冬は全国的にも気温が低く雪も多かったので、外出を控えがちの方も多かったかもしれない。お花見や卒業、異動シーズンの到来とともに、居酒屋やレストラン等にも活気が戻るだろうか。

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