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海底探査ロボットの国際大会、海洋機構など共同チームが決勝に進出

「シェル・オーシャン・ディスカバリー・Xプライズ」唯一残る日本チーム
海底探査ロボットの国際大会、海洋機構など共同チームが決勝に進出

「Team KUROSHIO」のメンバー

 海洋研究開発機構や東京大学、三井造船などの海底探査チーム「Team KUROSHIO」は22日、自律型の海中ロボットを利用した国際的な海底探査競技「シェル・オーシャン・ディスカバリー・Xプライズ」の決勝進出が決定したことを受け、会見を開いた。共同代表である海洋機構の中谷武志技術研究員は「現在勝ち残っている唯一の日本チームとしてしっかり準備し、優勝をめざしたい」と意気込みを語った。

 探査チームには海洋機構や東大、九州工業大学、海上・港湾・航空技術研究所、三井造船、日本海洋事業、KDDI総合研究所、ヤマハ発動機が参加。10―11月の決勝で実際の海域での競技を行う。

 決勝では自律型無人潜水機(AUV)などを利用し、水深4000メートルで250平方キロメートル以上の海底地図を作製。データを解析し、競技開始から48時間以内に、財団へ地図を提出する。

日刊工業新聞2018年3月23日



海底探査/大型プロジェクト


 海洋研究開発機構と東京大学、九州工業大学、三井造船などの7機関は、米EXPRIZE財団と英蘭系のロイヤル・ダッチ・シェルが開く海底探査レースに参戦する。チーム名は「KUROSHIO」だ。水深4000メートルの深海で500平方キロメートルの広域探査を目指す。チームリーダーを務める海洋機構の中谷武志技術研究員は「今後10年間ないだろうビッグチャレンジに、優秀なメンバーと一緒に挑める。必ず成果を残したい」と意気込む。

 KUROSHIOの中核メンバーは4人とも30代だ。一般に若手研究者は教授が獲得した大型研究予算で雇用され、大型予算の一部で要素技術を研究することが多い。ロボットシステム全体を構築する大型プロジェクトを自身の手で運営する機会は限られる。KUROSHIOは自律航行型の潜水ロボ3台と海上中継ロボを組み合わせて広域探査する。

 将来は、資源会社などがウェブで海底調査を発注するとロボットが海底を自動測位し、翌日には海底の地形データが納品される調査サービスを構想する。共同代表を務めるソーントン・ブレア東大准教授は「ワンクリック・オーシャン・サービスを実現したい」と力を込める。

日刊工業新聞2017年4月28日より抜粋

昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
日本チームの他にはドイツ、スイス、ポルトガル、イギリス各1チームずつ、アメリカが4チーム決勝に進んでいます。

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