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無借金経営やめました?トラスコ中山が銀行借り入れで戦略投資

 トラスコ中山の中山哲也社長は9日、都内ホテルで開いた株主総会で、2017年8月に実施した100億円の銀行借り入れに言及し,「再度の資金調達の計画がある」と明らかにした。前年まで“無借金経営”を続けてきたが、大規模な物流施設や情報システムを中心に「先を見据えた投資が必要」と資金調達し、戦略投資に振り向ける。

 中山社長は17年12月期の各利益が、積極的な設備投資などのために微増だったことにふれ、「売上高3000億円の企業づくりの真っ最中、と理解いただきたい」と株主に求めた。30%強の配当性向が妥当とする株主から株主還元について問われ、「投資がかさんでいる。(配当性向を)収益が戻ったらもう一度考えたい」と説明した。17年12月期は、配当性向が25%台だった。

 同株主総会は東京都内と大阪府内の2会場で開かれ、計1790人(前回比327人増)が参加。両会場から12人(前回は20人)が質問し、所要時間は2時間52分だった。
日刊工業新聞2018年2月9日
六笠友和
六笠友和 Mukasa Tomokazu 編集局経済部 編集委員
中山社長のご発言は、微増益への理解を求めるものが多かったのですが、2017年度の業績そのものは売上高、利益ともに過去最高と目を見張る内容でした。確かに今期(2018年度)は売上高が過去最高を更新するも、減益、減配です。 それでも戦略投資がかさんでのことですし、適切な投資による成長を良しとする考えが進んだ今、上場会社において無借金経営はかつてほど優先順位の高いものではなくなったと言えます。 成長に資金を振り向ける経営判断であることは間違いなく、いま撒いている種の刈り取り期に入るであろう2020年度以降に、真価を問うべきでしょう。

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