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ショップ店員の「働きがい」向上待ったなし

人手不足でSCの充足率はわずか10%強
ショップ店員の「働きがい」向上待ったなし

店舗販売員の「働きがい」向上に、メーカーや関係団体が取り組んでいる(イメージ)

 ショッピングセンター(SC)などで販売員が働きやすい環境整備が進んでいる。日本ショッピングセンター協会はSCのテナント従業員のES(従業員満足)に関する宣言を策定。三陽商会は販売員の雇用形態を契約社員から正社員に転換する制度を、2018年中に導入する。レナウンは育児中の販売員をサポートする同僚への手当の支給を、1日に始めた。働きやすさとともに「働きがい」を高めるのが狙いだ。

 日本SC協会はES宣言に合わせ、デベロッパーやテナント向けに賃金などの処遇改善や、Eコマースにはないサービス深化といった行動指針も発表した。

 清野智日本SC協会会長(JR東日本会長)は「働く人の満足度を、SC全体で上げる決意だ」と話す。日本百貨店協会も販売員のイメージや認知度を上げる目的で、国家検定資格として「接客販売技能検定」を17年11月に始めた。

 三陽商会は「ポール・スチュアート」「マッキントッシュフィロソフィー」などのブランドで、百貨店を中心に売り場を展開している。販売員が複数のブランドを担当するなどの生産性向上に取り組んでおり、次のステップとして契約社員の正社員化を図る。「モチベーションを上げ、安心して働ける環境をつくる」(岩田功社長)狙いだ。

 レナウンは育児中の販売員に対し、短時間勤務や始業時間の繰り下げなどの支援施策を講じている。一方で、同僚にはその販売員が不在の際にフォローしたり、休日取得を譲ったりといった負担がかかっている。同僚に月3000円の手当を支給することで、育児中の販売員、同僚の販売員の双方が気持ちよく働ける雰囲気づくりを目指す。

日刊工業新聞2018年3月8日
江上佑美子
江上佑美子 Egami Yumiko 科学技術部 記者
 こうした施策の背景には人手不足がある。日本SC協会が17年に実施したテナントスタッフに関する調査では、充足しているSCは10・8%に留まった。パーソルキャリア(東京都千代田区)の調べでは、ファッション業界で働く35―39歳の販売員の平均年収は352万円。同業界のプレス・販促担当の520万円、MD(マーチャンダイザー)・バイヤーの499万円などと比べても低い。シフト制のため勤務が不規則で、土日に休みが取りづらいといった問題もある。販売員の地位とともに、給与面や労働環境の向上が人手不足解消には欠かせない。

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