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海底下5000mで地震観測、早期通報・予測向上目指す

海洋機構がシステム構築へ
海底下5000mで地震観測、早期通報・予測向上目指す

「ちきゅう」で海底を掘削してセンサーを設置する(海洋機構提供)

 海洋研究開発機構は地震や地殻変動を計測するセンサーを海底下数千メートルに設置し、高精度でリアルタイムに地震を観測するシステムを2019年3月までに構築する。水深2000メートルの海底から現在のセンサーの設置場所の5倍の深さの約5000メートルまで掘削しセンサーを設置する。地震の発生地点に近い場所からの観測で、地震発生の早期通報や予測精度の向上などが期待される。

 掘削した穴にセンサーを入れ、最上部に装置を設置。紀伊半島沖で防災科学技術研究所が展開する地震・津波観測監視システム「DONET」と同装置を接続し、穴の内部の観測データをリアルタイムでモニターする。

 センサー設置に先駆け18年秋にも、地震の規模を示すマグニチュード(M)が最大9になると想定される「南海トラフ」(紀伊半島沖熊野灘)で、地球深部探査船「ちきゅう」を利用し、海底下約5000メートル地点を掘削する。

 海洋機構は13年度の航海で海底下3000メートルを掘削しており、科学掘削としては世界最深に達している。
日刊工業新聞2018年3月1日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
今回は、同じ場所を掘り下げて、海底下5000メートルの掘削を目指す。地球環境変動や地球内部構造などの解明を目的とした研究を推し進める日米欧の国際プロジェクト「国際深海科学掘削計画」(IODP)の一環として行う。

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