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グーグルフォト、黒人の顔を「ゴリラ」に自動分類し謝罪

機械学習の限界あらわに、人のラベル付けには配慮を
グーグルフォト、黒人の顔を「ゴリラ」に自動分類し謝罪

ツイッターから

 グーグルが先日リリースした写真検索・共有サービス「グーグルフォト」で、アフリカ系アメリカ人の顔を「ゴリラ」と自動分類していたことがわかり、グーグル側が当人に謝罪する事態となった。この自動分類には機械学習という人工知能(AI)の一種が使われている。グーグルのソーシャル担当の最高技術責任者は「肌の色の認識を改善するよう取り組んでおり、今後、人間のラベル付けにはより注意深く対応する」とコメントしている。

 グーグルフォトは機械学習の技術を使い、利用者が投稿した写真に写っている人の顔や動植物、食べ物などを自動的に分類し、タグ付けして検索しやすくする機能を持つ。今回の問題では、ニューヨーク在住の男性が友人と2人で撮った写真をグーグルフォトのアプリで保存したところ、ゴリラと分類。びっくりして「グーグルフォト、大失敗しやがったな。俺の友達はゴリラじゃないぞ」とツイッターに書き込み、問題が発覚した。現在、グーグルフォトで「ゴリラ」の分類は除外され、検索できなくなっている。

 グーグルはこれまで、完全ではない製品をまず公開し、ユーザーの指摘をもとにブラッシュアップしながら完成の域にまで持って行く開発手法をとっていた。その方がスピーディーに製品開発ができる利点があるためだが、今回は完全に裏目に出た格好。一方で、機械学習は現実世界のバイアスが反映されやすいという専門家の指摘もある。ネット上には白人の写真が圧倒的に多く、白人以外の顔を自動認識させるのが比較的得意ではない、との見方だ。

 このところ熱い注目を浴びるAIや機械学習だが、まだまだ万能というレベルには遠い。微妙な問題については機械任せではなく人が、細心の注意をもって対応する必要性があらためて浮き彫りになった。
ニュースイッチオリジナル
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
グーグルは何事もアルゴリズムで自動化し、タグ付けしようとしている。だが、人間は微妙な部分に注目したり違和感を持ったりするので、そこまで配慮した機械学習というのはやはり難しい。だからこそ細かい気配りの効いた、日本発のおもてなしアルゴリズムの登場が期待されるかもしれない。

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