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ブラザーが燃料電池に参入、面白い技術なのにちょっと残念な理由

純水素タイプで発電効率は高まるが、非常用電源がメーン用途
 ブラザー工業は22日、非常電源向けに出力4・4キロワットの燃料電池「BFC4―5000―DC380V」を発売し、燃料電池市場に新規参入すると発表した。28日に受注を開始する。一度の発電で反応しきれなかった水素を再利用する仕組みを装置内に組み込んだことで、効率的に、長時間を安定的に発電できる。価格は個別見積もりで、1000万円台とみられる。2025年度までに燃料電池システムで売上高200億円を目指す。

 同日都内で会見した松本勇美夫常務執行役員は、「18年度中に第2弾製品を発売したい」と語った。製品群を拡充し、事業拡大を加速させる。インフラ設備やデータセンターなどでの利用を見込む。

 同社製品は、装置内での再利用により水素を99%使い切ることで、既存製品に比べ発電量や安定性を大幅に向上させた。

 これにより、災害時の電力復旧にかかる72時間以上の安定した発電と、同等サイズの燃料電池に比べ2倍の電流量の発電を実現した。

 同製品は固体高分子タイプで、起動が速く、小型化や軽量化しやすい。信頼性の高い部品の採用やセンサーによる水素検知など、3重の安全設計を採用した。また、燃料や発電の状況を遠隔地からモニタリングできる。
日刊工業新聞2018年2月23日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
水素を直接、投入する純水素タイプの製品化は東芝に続いて2社目。エネファームとの構造的な違いはガス改質器(ガスから水素を取り出す装置)のあるなし。エネファームは燃料電池セルに投入したものの使い切れなかった水素をガス改質器で利用していましたが、純水素はセルに再投入でき、発電効率が高まります。ブラザーは4・4kwなので店舗に使える規模。ただ、残念ながら非常用電源がメーン用途のようです。東芝がエネファームから撤退。逆に京セラ、三菱重工、ブラザーが業務用に参入してきました。

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