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IoTホステルは壮大な実験場。顧客の匿名データを機器メーカーに提供

アンドファクトリーが20年度までに15店舗
IoTホステルは壮大な実験場。顧客の匿名データを機器メーカーに提供

2月にグランドオープンした「アンドホステル秋葉原店」は中古ビルを改装した

 and factory(アンドファクトリー、東京都目黒区、小原崇幹社長)は2020年度をめどに、IoT(モノのインターネット)活用を特徴とした簡易宿泊施設「&AND HOSTEL(アンドホステル)」を15店舗展開する。近未来の暮らしを体験できるIoTルームなどの個室とドミトリー(相部屋)で構成。訪日外国人客の利用増を見据え、東京・大阪の都心に集中して出店を加速する。

 アンドホステルは16年、福岡(福岡市)に1号店を開業し、現在は5店舗を営業している。都内での展開を急いでおり、7月には浅草、12月には西浅草でも出店する。19年は蔵前、両国で開設するほか、大阪市内で堺筋本町、心斎橋の2カ所に計画を進めている。

 アンドファクトリーは、スマートフォンのアプリケーション(応用ソフト)開発が主力のベンチャー。IoTを活用した個室を併設する宿泊施設を“スマートホステル”と呼んで運営している。

 IoTルームでは人工知能(AI)スピーカーやスマホを使った家電制御や、施設の利便性を高める各種情報を提供する。機器メーカーとの連携で、最新技術を投入した部屋を企画。技術の検証にも役立てており、利用客が実際に機器を使用した匿名データを、メーカーの開発現場にフィードバックしている。

 宿泊客の7割が外国人客で、宿泊客同士がラウンジで交流を持てることを特徴とする。ラウンジに人が集まると、IoTルームでは交流を促す音声が流れる。今後は、タブレット端末を使った娯楽の提供や、ラウンジに設置するタッチスクリーン付き大型ディスプレーによる観光体験情報の蓄積、共有なども視野に入れている。
日刊工業新聞2018年2月21日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
 利用履歴データをメーカーに提供することで機器提供費用を下げているモデル。すなわち壮大な実験場ということ。こういうことを実地でしっかり積み上げないと、真の課題と望まれているサービスの実態がわからない。  唯一の課題はIoTルームに設置された機器が壊れやすいこと。先日も知人が機器の故障を理由にIoTルームの予約を変更されたなど、まだまだ改善の余地は当然ある。しかしながら先進的な検証結果から新たなサービスを産み出すことに今後期待したい。

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