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「分とく山」総料理長が語る、きゅうりを食べてダイエット

野崎洋光氏に聞く「食前に1本かじれば食欲が落ち着き、食事量を抑えられる」
「分とく山」総料理長が語る、きゅうりを食べてダイエット

「食べずに痩せようという考え方は間違い」と野崎さん

 ―“食べて痩せる”という発想への転換を促しています。
 「食べずに痩せようという考え方は間違いで、体を壊すだけ。むしろ肉や魚、野菜をバランス良く食べることで、健康的に痩せられるということを伝えたかった。その入り口にピッタリだったのが、たまたまキュウリだった。食前に1本かじれば食欲が落ち着き、食事量を抑えられる。たくさん食べても低カロリーで太らない。よくかむことで唾液も十分に分泌され、免疫力の向上にも役立つ」

 ―ご自身は夏に、12キログラムの減量効果を引き出したそうですね。
 「一度に10本くらい食べていたが、水を飲むより食品からと思ったのがきっかけだ。実は、脂肪を分解する酵素が含まれていることは後で知った。もどかしいかもしれないが、1日100グラム減らすという意識で十分。1、2週間では体質が追いつかずリバウンドしてしまうので、最低でも100日はやってみてほしい。半年たてば20キログラム落ちる計算だ」

 ―近年は魚や野菜の摂取量が減り、生活習慣病の発症例が増えていると聞きます。
 「食事と真剣に向き合わない現代人の姿勢が原因だ。まるで“エサ”のように流し込んでおきながら、病気になると慌てて病院に駆け込む。だが、バランスが崩れたある種の栄養失調を完全に直すのは難しい。私はよく、中古車ではなくクラシックカーになれと例えている。体の基礎を強くすれば、身体的・精神的に健康的な毎日を送れるだろう。自然とポジティブな姿勢も育まれるのではないか」

 ―ダイエットをするにしても、体づくりという意識で取り組むことが大切ですね。
 「特に社会人は忙しく、金銭的な欲求も芽生えてくる。だから、体が資本という当たり前のことを忘れてしまうのかもしれない。でも、どれだけ裕福になっても病弱では元も子もない。だからこの本もダイエットをするためではなく、健康に暮らすためのヒントをちりばめた1冊として受け止めてほしい。その上で、食生活そのものを見直すきっかけにしてもらえればうれしい」

 ―食事制限がない手軽さも読者(『きゅうり 食べるだけダイエット』)の共感を集めているようです。
 「キュウリだけ食べ続けてと言っても、長続きするわけがない。要はバランスで、米も肉も大切。でも正直、霜降りは勧められない。赤身の肉に脂肪が付いていたら、多くの人はカットするでしょう。それなのに、なぜ混ざったものが高価で人気があるのか。結局、マーケティング戦略に影響されているだけ。カロリーオーバーになって、わざわざ負債を背負うようなものだ」

 ―これから食生活を改めようという人に向けて、寒い季節にふさわしい食材は。
 「冬のキュウリはおいしくないし、体を冷やしてしまう。だからゆでた野菜がいい。味付けも化学調味料ではなく、ポン酢やしょうゆといったシンプルなものが飽きない。そのゆでたてを食べるのがポイント。時間がたったり冷蔵庫に入れたりすると、どんどんうまみが失われる。キュウリに比べると調理する手間はかかってしまうが、例えば野菜のしゃぶしゃぶなら家庭でできる。健康は自分で守らないとダメだ」
(聞き手=堀田創平)
<略歴>
野崎洋光(のざき・ひろみつ)「分とく山」総料理長 73年(昭48)武蔵野栄養専門学校卒、同年東京グランドホテル入社。78年八芳園入社、80年とく山料理長、89年分とく山総料理長。福島県出身、65歳。著書『きゅうり 食べるだけダイエット』(KADOKAWA)
肉や魚、野菜をバランス良く食べること
日刊工業新聞2018年2月19日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
野崎さん、本出したんですね。「分とく山」は行ったことはないが、きゅうりは今日から食べることができる。最近は暴食気味なので、個人的にも野菜の摂取を心がけます。

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