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形だけの連携じゃないぞ!起業家教育で協定の4大学

早大、山形大、東京理科大、滋賀医科大が強み生かし相乗効果狙う
 早稲田大学、山形大学、東京理科大学、滋賀医科大学は起業家教育における大学間協定を結んだ。首都圏と地方、強みの学問分野などの違いを生かし、各大学の起業家教育プログラムで相乗効果を狙う。2018年度から単位互換、学生交流、イノベーション関連施設の相互利用を始める。さらにイノベーション教育の教員養成や、研究プログラムでの連携も検討していく。

 これは文部科学省の支援事業「次世代アントレプレナー育成事業」(EDGE‐NEXT)の採択を受け、30超の機関で動きだしたコンソーシアムが土台となる。

 主幹校の早大は前身事業「EDGEプログラム」を元に、全学イノベーション教育を始めている。8単位相当のコースを年約1000人が受講中だ。学生交流協定を結んだ各大学の学生はこれを履修できる。

 山形大は東北で理工系の起業に実績があり地域連携に積極的だ。4月から外部講師12人を迎えた3段階のプログラムを始動する。

 東京理科大は米マサチューセッツ工科大学の教育手法を導入し、アジアでのネットワーク拡大も進めている。滋賀医大は近畿にあり医療系のニーズ・シーズを持つ。企業に事業提案をするインターンシップ(就業体験)も実施している。

 これら特徴ある各教育手法を4大学間で共有化。グローバルと地域貢献を視野に入れた起業家マインドの育成と、起業・新事業創出の人材育成の二つを全体で進める計画だ。
右から東京理科大、早大、山形大、滋賀医大=早大提供
日刊工業新聞2018年2月8日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
形だけの大学間連携も数多くあるが、これは文科省の起業家教育事業において設計された教育コンソーシアムとあって、実効性が高いとみられる。すでに4大学とも独自の活動を推進中で、そのうえで立地や得意分野で違うもの同士が連携する形だ。イノベーション創出に必要な多様性が確保され、学生のマインド醸成の効果が期待される。

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