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糖尿病やメタボ予防、新規分子を発見

神戸薬科大が突き止める
 神戸薬科大学の池田宏二准教授らの研究グループは、脂肪細胞のインスリンシグナル伝達を調節し、糖尿病やメタボリック症候群の発症を防ぐ新規分子を発見した。正常な脂肪細胞で「Fam13a」という分子が多く発現しており、全身の糖とエネルギー代謝の維持に欠かせないことを突き止めた。



 脂肪細胞が機能不全に陥る分子機構の解明に向け原因分子を探索したところ、通常のマウスの脂肪組織でFam13aが多く発現する一方、肥満マウスでは発現量が10分の1未満に減っていた。Fam13aの働きを調べ、インスリンシグナル伝達を仲介する分子と、その仲介分子のたんぱく質分解を阻害する物質の両方に結合することで、インスリンシグナル伝達を維持する役割があると分かった。

 Fam13aを欠損したマウスを観察すると、脂肪細胞のインスリン作用不全が起こり、糖尿病やメタボリック症候群を発症した。Fam13a欠損マウスは、太っていなくてもインスリン作用不足の症状があり、肥満に誘導することでより重度なインスリン抵抗性を示した。

 一方、Fam13aの発現量が多いマウスはインスリンシグナル伝達が増強し、太っても糖尿病やメタボリック症候群になりにくかった。

 成果は米国科学アカデミー紀要電子版に掲載された。
               
日刊工業新聞2018年1月30日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
Fam13aの発現を制御できれば、糖尿病やメタボリック症候群を予防する治療法確立につながることが期待されるという。

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