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三菱化学が高出力LED向けの「窒化ガリウム基板」生産倍増

自動車ヘッドライトなどの需要拡大。14年の白色LEDパッケージ世界市場は1兆4000億円強
三菱化学が高出力LED向けの「窒化ガリウム基板」生産倍増

高出力LEDに使う窒化ガリウム基板

 三菱ケミカルホールディングス(HD)傘下の三菱化学は、発光ダイオード(LED)照明の発光部に使う窒化ガリウム基板を増産する。筑波事業所(茨城県牛久市)の生産ラインを増設し、生産能力を倍増した。自動車ヘッドライトなどに使う高出力LEDの需要が拡大しており、生産拡大で対応する。

 窒化ガリウム基板は従来のサファイア基板に比べて消費電力を抑えながら高出力のLED照明を生産することが可能。自動車メーカーが従来のハロゲンランプに比べて長寿命で省エネなLEDランプをヘッドランプに採用する動きが広がっている。店舗用照明などでも高出力LEDの需要が伸びていることから、筑波事業所での増産を決めた。

 三菱化学はガリウム・ヒ素基板での30年以上の経験を生かした独自の生産装置を開発し、高品質な窒化ガリウム基板を筑波事業所と水島事業所(岡山県倉敷市)で生産している。一般的な気体状の材料から窒化ガリウム結晶を成長させる気相法ではなく、材料を溶かした液から結晶を成長させることで生産効率を増した液相法と呼ぶ生産手法での量産を2015年度中に始める。

 調査会社の富士キメラ総研(東京都中央区)によると、14年の白色LEDパッケージの世界市場は前年比14・6%増の1兆4120億円。中国メーカーが低価格を武器に攻勢をかけた結果、単価は下落したが高出力品が伸びた。今後も照明需要の増加を背景に市場拡大を見込み、20年には14年比36・7%増の1兆9300億円に達する見通し。
日刊工業新聞2015年06月30日 素材・ヘルスケア・環境面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
 省エネなどLEDの普及が進む中、素材のより効率的な生産手法が広がりそうだ。

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