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自転車の製造・卸販売の武田産業がファンドの支援でMBO!

国内市場低迷の中でノーパンクタイヤ車を武器に3年以内の上場目指す
自転車の製造・卸販売の武田産業がファンドの支援でMBO!

武田産業ホームページより

 独立系の企業再生ファンド大手、ニューホライズンキャピタル(NHC、東京都港区)は、自転車製造・卸販売の武田産業(千葉県柏市)の経営者による企業買収(MBO)を支援するため同社に投資した。創業家の武田英世会長らが3年以内の株式公開を目指し成長戦略を実行するのを後押しする。国内自転車市場が縮小する中、ノーパンクタイヤ装着製品が堅調なほか、自社で物流拠点を持ち安定した収益力を誇る。今後は手薄だった西日本地区の販路を拡大、また大手へのOEM(相手先ブランド生産)も増やしていく。

 NHCの投資額は約8億円。2人の社外取締役を派遣する。NHCが現在のファンドを立ち上げて以降、MBO案件を手掛けるのは初めて。相続問題などで散逸していた武田産業株を昨年、別のファンドが全株式を取得。上場を目指す武田会長ら現経営陣の意向とNHCの投資戦略が一致した。

 武田産業の直近の売上高は40億円強(2014年1月期)。償却の終わった倉庫を効率的に活用、ホームセンター大手のDCMホールディングスなどを大口顧客として抱え黒字経営を続けている。上場時には売上高60億円以上を目標にしている。

 もともと北海道で創業したため東日本地区に強い。今後は西日本・九州に自社物流拠点を設け、営業体制を整備する。ノーパンクタイヤは技術的にも評価が高い韓国タンナス製を採用、自社ブランドの「チャクル」の新製品を順次投入していく。

 国内の自転車市場は漸減傾向にあり、13年には1000万台を割り込んだ(14年は推計940万台)。パナソニックやブリヂストンサイクルなど大手4社で市場の大半を占める。一方で今後は電動アシスト車の成長が期待できため、武田産業は大手メーカーとの共同開発も検討する。また中国へベトナムなど海外での事業展開も視野に入れる。
日刊工業新聞2015年06月30日 3面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
同族経営の相続で株式散逸問題は事業継承で問題になるこも多い。今回は低迷する自転車市場にあって、再生ファンドが関与しMBOするという結構レアなケース。ニューホライズンのような独立系で中堅企業の企業再生と、成長投資をできるファンドは貴重。これからモノづくり系や大手企業の非中核事業でファンドの出番が増えるだろう。

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