政府も医者も本気?動き出す「遠隔診療」

重症化を防ぐ切り札へ規制緩和

チャットイメージ(メドピア提供)

 へき地や遠方など、医療機関への通院が困難な患者を対象とする「遠隔診療」の取り組みが広がっている。2018年度の診療報酬改定で遠隔診療の評価を新たに設けることを示すなど、政府も普及に向けて動きだした。これを受け、医療関連業界では遠隔診療に活用する医療デバイスの開発や、患者が利用するネットワーク構築への動きが活発化している。目指すのは、日常の疾患モニタリングから、未病の改善や予防、そして重症化の阻止だ。  遠隔診療は、医師がテレビ電話などで患者とつながり、診療する方法。対面診療の補完的位置付けとして、患者の状態について有用な情報が得られる場合、電子メールや会員制交流サイト(SNS)を組み合わせた遠隔診療も可能とされる。  一方で、利用拡大には課題もある。現在は患者の自宅と医療機関とを結ぶ場合は遠隔診療を受けることができるが、自宅に通信環境がない患者が公民館などの公共施設で診療を受けることは医療法上できない。また、遠隔診療を提供する医療機関も、対面診療に比べて請求できる診療報酬が少ないことが導入の障壁となっている。  こうした課題について政府の未来投資会議は、医療上の安全性・必要性・有効性が担保された適切な診療を普及させていく必要があるとし、17年11月に研究班を立ち上げ、17年度末に情報通信機器を用いた診療に関するガイドライン作成を目指すとした。  一方、遠隔診療用のデバイスの開発は着実に進んでいる。「在宅健康管理を推進する会」(東京都荒川区)は、充電式の小さな心電計を最大7日間付けっぱなしにするだけで心電図を記録する「みまもりブレイン連続心電図サービス」を提供する。  保険認可がおりたことで、主に病院・クリニックや在宅医療、介護施設の現場で使用が広がる。電極をいくつも貼り、計測器を持ち運ばなければならない従来のホルター心電図と違い、使用者は親指サイズの心電図計を胸につけるだけと手軽だ。計測中に血圧や心電図の異常を検知すると、サポートセンターから本人や家族に連絡される。  計測したデータは、心電図計と一緒に借りるスマートフォンを介してサーバーへ送られる。健康診断などの単発の心電図検査や24時間の連続記録では拾うことができない異常の検出につながっているという。  一般的に医療機関の利用は患者負担率の少ない高齢者や未就学児で多く、3割負担が原則のビジネスマン・ウーマンは受診の機会が少なく、重症化するまで疾患を放置してしまうケースがある。この対策として、オンラインで適切な医療相談を受けられるサービスが発達している。  メドピアグループ(同渋谷区)では、24時間365日、医師とのチャットやテレビ電話などで医療相談が受けられるサービス「ファースト・コール」を提供中だ。  病院に行くか迷うようなちょっとした体の不調や、どの科に受診すればいいかなどの相談が寄せられる。適切な受診を勧め、医療費の削減、重症化予防などの効果を狙う。  インターネット検索で出てくるヘルスケアサイトの情報の信ぴょう性が指摘される中、グメドピアループに参加する眼科医の眞鍋歩医師は「医療機関と患者の間の情報提供プラットフォームとなるよう期待している」と話す。 (文=安川結野)

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