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レクサスだけでなく軽まで!HUDで勝負するデンソー

スズキの「スペーシア」で初採用、世界の競合と戦う
レクサスだけでなく軽まで!HUDで勝負するデンソー

軽向けヘッドアップディスプレー

 デンソーは、ヘッドアップディスプレー(HUD)を軽自動車向けに初めて開発し、スズキが発売した新型「スペーシア」のオプションで採用された。自動運転技術で独コンチネンタル、独ボッシュと互角の戦いをしていると自負するデンソー。10年後、20年後に向けた戦いは、すでに激しさを増している。

 従来は搭載性やコストが課題で、採用は高級車を中心とした一部の車種に限られていたHUD。部品点数の削減などにより軽自動車の限られたインパネスペースに搭載できる仕様にした。

 一方で自動車用で世界最大となる表示サイズ約24インチのTFT液晶HUDも開発。トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」の新型セダン「LS」に採用されている。
 
 運転手から約3メートル前方に大画面を投影し、運転中に視線の動きが少なくて済み、直感的に車両速度などの情報を認識できるのが特徴。車両速度や道路の制限速度を表示するほか、車両周辺のセンサーやカーナビゲーションシステムと連携して前方の歩行者の存在を知らせる機能などを付けた。進行方向を矢印で表示する「レーンガイダンス」も可能にし、安全性と利便性を高めている。

 デンソーの先進運転支援システム(ADAS)・自動運転分野の研究の歴史は古い。ミリ波レーダーは1990年代に当時世の中になかったICから内製し技術を蓄積した。レーザーレーダー(LIDAR)も最初に商品化したのは96年だ。

 センサーだけではない。車車間・路車間通信に不可欠な無線通信機も90年代後半に試作機や実証実験機を開発。無線機の信頼性については任せてくださいと言える自負がある。

 デンソーが手がけるこの分野の製品は大きくくくると、こうしたセンサーや通信機器、そしてヒューマンマシンインターフェース(HMI)を加えた三つ。

 HMIは自動運転で極めて大事になる分野だ。一つはドライバーステータスモニター。自動運転から人の運転に切り替える際、覚醒させるためなどに求められる機能という。もう一つがHUD。デンソーは1991年からHUDを生産している。

 現在、実際の風景に重ね合わせて走行すべき道などの情報を表示する技術を開発している。ドライバーが安心して自動運転を利用するためクルマが今、なぜ、その動きをしているのかを伝える術としてHUDが重要ととらえる。
日刊工業新聞2017年12月28日記事に加筆
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
HUDは自動運転におけるドライバーのインターフェースなので極めて重要なテクノロジー。伝統的なメガサプライヤーとARやAIなどに強みを持つ企業との連携(あるいはM&A)が今後活溌になるはず。完成車メーカーはどこからサプライヤーと組んでいくかも、競争力の分岐点になる。

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