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事業プランコンテスト最優秀賞にAGREE、医療相談アプリを事業化

MITベンチャーフォーラム主催
事業プランコンテスト最優秀賞にAGREE、医療相談アプリを事業化

各務審査委員長(左)と最優秀賞に選ばれた伊藤俊一郎AGREE社長

 日本MITベンチャーフォーラムは11日、第17回ビジネスプランコンテスト&クリニックの最終審査発表会を都内で開催した。ファイナリストとして約2カ月間のメンタリングを受けた7チームのベンチャー企業などが事業プランのプレゼンを行い、審査委員会による審査の結果、医療相談アプリの事業化を目指すAGREE(アグリー、茨城県つくば市)が最優秀賞を獲得。副賞として賞金150万円が贈られた。

 優秀賞は2社。買い物などで企業株価と連動するポイントを発行し、それらを実際の株式と交換して投資体験まで行えるサービスを提供するSTOCK POINT(ストックポイント、東京都千代田区)と、全国各地の警察・自治体・SNS・住民から収集したデータをもとに犯罪の多い地域の危険回避情報をアプリで提供する「お守り防犯サービスMoly」のコーデセブン(東京都渋谷区)が選ばれた。

 また、今回新設した審査委員特別賞には、前処理なしで揮発性有機化合物(VOC)などのリアルタイム測定が行えるポータブル型分析装置を開発したC&Vテクニクス(東京都昭島市)が入った。

 最優秀賞となったAGREEの医療相談アプリ「LEBER(リーバー)」は、このビジネスモデルに賛同した全国の医師にスマートフォン経由で症状などを1回100円から500円で気軽に相談できるサービス。軽い症状で病院に行く人を減らす一方、病気の早期発見・早期治療や、市販薬を勧めることでの医療費抑制といった効果が期待できるという。

 審査委員長を務めた東京大学産学協創推進本部イノベーション推進部長の各務茂夫氏はLEBERについて、「いわばドクター・シェアリングの考え方。最初の(医師ネットワークの)仕組みづくりを急がなくてはならないが、日本の医療全体のレベルアップと医療費削減につなげられ、素晴らしい事業になる」と選考理由を説明した。

 心臓外科医でもあるAGREEの伊藤俊一郎社長は、「賛否両論あるビジネスモデルなので、こうした賞には選ばれないのではと思っていた。今の社会では医師と患者との距離が離れている。それを縮めるというシンプルなプランが評価されたのではないか。何より信頼や安全が重要になるので、それらに留意しながらスピード感を持って事業を進めていきたい」と抱負を語った。LEBERは2018年1月のサービス開始予定。それまでに開発資金として1億円の資金調達を計画している。

 それ以外の企業賞などの受賞者は以下の通り。

【日本MITベンチャーフォーラム正会員賞】AliveCast(アライブキャスト、福岡市中央区)【漆間総合法律事務所賞】歯っぴ~(熊本市中央区)【日本マイクロソフト賞】AliveCast【AWSアマゾン賞】STOCK POINT【長島賞】AGREE
日刊工業新聞2017年11月11日電子版
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
アグリーは1回100円、300円、500円のプランがあり、質問に対し医師が空いた時間にチャットで回答。薬を処方するのではなく市販薬を勧められるので、法律や規制の面をクリアしているとのこと。

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