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今までできてなかったことが不思議…?NTTグループ、農業向けIoTサービス商用化

今までできてなかったことが不思議…?NTTグループ、農業向けIoTサービス商用化

NTTドコモとアプレが北海道で実証を進めるトマトのハウス栽培

 NTTグループが農業向けにIoT(モノのインターネット)サービスの商用化に乗り出す。NTTドコモは2018年度に水耕ハウス栽培のデータを取得し、熟練作業者のノウハウを学習した人工知能(AI)で分析するアプリケーション(応用ソフト)を開発する。NTT東日本は17年度中に屋内栽培向けに無線LAN「Wi―Fi」やカメラを用いたサービスをパッケージで提供する。担い手不足など労働力の低下傾向にある農業でICT(情報通信技術)を活用し、作業の効率化や営農指導に役立てる。

 ドコモは顧客からの個別受託によるアプリ開発を有償で行う。第1段階としてハウス内に設置したセンサーからハウス内の温湿度や養液の水温、気象予報などのデータをクラウド上に収集。それを受け、熟練作業者からヒアリングした判断をもとに入力した作業内容をスマートフォンなどに通知する。例えば「水温が21度Cを超えそうなので注意してください」といった単純な指示ができる。

 第2段階で熟練作業者の判断をAIに学習させて多次元データを分析することで、細かい指示を出せるようにする。例えば「水温が21度Cを超えそうだがこれから気温が上がらないと考えられるため様子を見てください」といった熟練作業者しかできなかった予測を含めた指示ができる。

 NTT東日本はセンサーやカメラ、Wi―Fi、IoT機器のサポートをまとめて提供する。アプリやウェブサービスを利用し、取得データをスマホやパソコンなどで閲覧できる。JAや自治体のほか、農業と親和性の高いビニールハウスメーカーを通じて、個人農家を支援する。

 省電力で広域をカバーするIoT向け無線通信「LPWA」に比べ容量の大きいデータを送れるWi―Fiを活用する。これによりハウス内の温湿度のほか、カメラで撮影した映像を取得できる。

 そのデータとJAなどが保有するデータを用いて営農指導に活用する仕組みを確立する。
日刊工業新聞2017年10月24日
八子知礼
八子知礼 Yako Tomonori INDUSTRIAL-X 代表
今までできてなかったことが不思議なくらいの農業のIoTをNTTが各社で取り組み始めた。センサーやデバイスが手頃な値段で入手可能になったことと、営業やパートナーが売りやすい通信とのパッケージ化できたことが一因かと。 今後はこうしたIoTパッケージ化がますます期待される。

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