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営業秘密規定、中小企業の7割が未整備

INPIT、重要性訴え
 工業所有権情報・研修館(INPIT)が、全国47都道府県で運営する「知財総合支援窓口」で営業秘密管理を説明した中小企業に聞き取り調査したところ、7割弱が管理規定を整備していないことが分かった。同規定を設けないと、技術や製造ノウハウが意図せず流出しても不正競争防止法などで守れない。INPITは営業秘密管理に関する集中的なプッシュ型支援を実施し、重要性を訴える。

 実験データや顧客情報、価格情報などに限らず、工場の設備配置や金型、試作品なども企業の重要な資産。取引先の求めに応じて提供した情報を盗まれたり、従業員が退職時に持ち出すなどのトラブルは多い。特許出願して内容を公開する代わりに独占することは有効だが、他社に模倣されていることが分かりにくい技術は自社で守る必要がある。

 秘密情報の取り扱いについての社内ルールやパソコンの管理、退職者への持ち出し禁止規定などを設けていないと流出した際の対応が難しい。

 IoTの普及でオープンイノベーションの重要性が高まる中、特許により権利化するか、営業秘密として秘匿するかなど知財戦略の重要性は増す。

 従来、INPITの営業秘密・知財戦略相談窓口では4人の専門家が年約450件の技術相談に応じている。加えて12月末までを営業秘密管理体制整備の集中啓発期間に位置付け、知財相談窓口の相談時に原則呼びかけるほか、全国8カ所でセミナーを開催する。

 情報処理推進機構(IPA)による営業秘密の実態調査によると、情報漏えいルートでは「現職従業員などのミス」が43・8%で最多。次いで正社員の中途退職者が24・8%と多かった。
                  
日刊工業新聞2017年9月8日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
大手もまだそれほど厳格化できていないのに、中小ならある意味当然の結果だろう。週刊新潮の中づり広告を、週刊文春が公表前に入手していた問題で、文芸春秋の社長が新潮社に謝罪文した。新潮社もそれを受け入れたという。これで手打ち?今回は、出版取次会社が情報を流していた。中小企業でも共通の出入り業者とかは、そういう意識はなくても世間話の延長でよその会社の話をしていそう。  

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