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リニア新幹線でなぜ「大阪・三重・奈良」が連携?

「京都ルートは話がまとまらない」明日、決起集会
リニア新幹線でなぜ「大阪・三重・奈良」が連携?

2027年の品川―名古屋間の開業を目指している

関西の地方自治体や経済界が、リニア中央新幹線の大阪開業を早めるようネジを巻き始めた。11日に与党国会議員、国土交通省、JR東海の柘植康英社長をはじめ、沿線の三重県知事や奈良県知事ら関係者が一堂に会した決起大会を大阪市内で開く。この大会の意義や効果はどこにあるのか。

 リニア中央新幹線は、JR東海が2027年に品川―名古屋間の開業を予定している。名古屋―大阪間をめぐり、大阪府や関西経済連合会など官民6団体は14年7月、「リニア中央新幹線早期全線開業実現協議会」を結成。同区間をすべて同時に開業する「同時全線開業」を訴えてきた。

 16年11月に改正鉄道建設・運輸施設整備支援機構法が成立し、政府が鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じ、JR東海に財政投融資で3兆円を貸し出すことで、当初45年だったリニアの全線開業は最大8年の前倒しが決定。この時点で関西は同時全線開業を撤回し、順次開業区間を積み重ね37年に全て開業する「全線開業」を目指す事になった。

 一方、三重と奈良の両県は12年から、リニア中央新幹線建設促進会議を定期開催している。同時全線開業の撤回を機に、国会議員の音頭で大阪府と三重県、奈良県の3府県が今回連携した大会を開くことになった。焦点は、名古屋―大阪間でどの都市を通すか、ルートの問題だ。

 名古屋―大阪間は、国の1973年の基本計画や2011年の整備計画に「奈良市付近」を通ることが盛り込まれている。ただ京都府や京都市などは「京都を通る」よう求めている。

 松井一郎大阪府知事は6日の会見で「3府県が奈良ルートを認めているという意思をJR東海や国会議員をはじめ、内外にPRし、1日も早い大阪への開通」がこの大会の狙いとした。その上で、京都については「言い分は分かるが、話がまとまらなくなる。計画通り進めてもらいたい」とコメントした。

 もともと、JR東海はリニア中央新幹線を単独事業で進めるとしていた。予定ルートの線引きや環境影響評価にも着手していない。柘植JR東海社長は(名古屋以西の工事について)「名古屋開業後、すみやかに着手する」との発言を崩していない。
(文=・青木俊次、小林広幸)
日刊工業新聞2017年9月8日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
国交省は22日に「スーパー・メガリージョン構想検討会」を設置する。スーパー・メガリージョン(巨大地域)は、三大都市圏の一体化による世界最大規模の経済圏の誕生を意味する言葉だ。国内総生産(GDP)は首都圏が195兆円、関西圏が70兆円、中部圏が66兆円。合計すればフランスの281兆円を超え、ドイツの374兆円に迫る。  国交省は三大都市圏内だけでなく、地方圏との移動も大幅に短縮されることで、各地域の産業の交流・融合が容易になることを期待する一方で、地方が衰退するのでは?という負の側面も懸念している。  リニアだけの視点ではなく航空行政(伊丹をどう活用するか)を含む全体の交通戦略を考えないといけない。

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