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ホンダが「Nのために」

「N―BOX」全面改良で軽のシェア争いリードへ
ホンダが「Nのために」

新型N−BOXと寺谷執行役員

 ホンダが軽自動車市場で攻勢をかける。軽自動車「N―BOX」を2011年12月の発売以来初めて全面改良し、9月1日に発売する。同車は国内軽市場で7月までに17カ月連続で販売台数1位を誇り、新型への切り替え前でありながら根強い人気を誇る。新型の投入は需要のさらなる取り込みに加え、国内でのホンダブランドの強化という面でも重要な役割を担う。

 「これまでの6年間で『Nブランド』を確立できた。(新型N―BOXの投入で)さらに強いNブランドを作り上げる」。寺谷公良執行役員は31日に開いた新型N―BOXの発表会で、同車を中心とする軽自動車「Nシリーズ」のブランド強化に意欲を示した。

 N―BOX発売を皮切りに商品展開を開始し、17年7月までに171万台を販売している。その内「N―BOX」は101万台を占め、ホンダにとって国内軽事業における快進撃の立役者と位置づけられる。

 新型N―BOXは、ボディーの軽量化やパワートレーンの刷新により走行性能や燃費、乗り心地の向上を実現。また先進の安全運転支援システム「ホンダセンシング」を同社の軽で初採用し、標準装備としたほか、前後可動域が570ミリメートルの助手席も設定した。消費税込み価格は138万5640円から。月間1万5000台の販売を見込む。

 ただ国内市場は成熟化が進み、今後も成長は見込みにくい。全国軽自動車協会連合会によると、軽の新車販売台数は16年度が前年度比5・1%減の171万9971台と、3年連続で減少した。17年度も171万台程度に減る見通しだ。

 メーカー間の競争激化が予想される一方で、寺谷執行役員は「軽は日本の顧客に幅広く支持されており大きな浮き沈みはない。今後も根強い需要は継続する」と見る。

 新型N―BOXの投入によって、室内の広さや走行性能などの旧型からの強みに加え、安全性能や利便性の高さも訴求し、今後もシェア争いをリードしていく構えだ。

 また商品の拡販や新たな商品イメージを盛り込んだ広告展開により、Nシリーズのブランド力を一層高めるとともに、「ホンダブランドにもしっかり役立てていく」(寺谷執行役員)方針だ。
日刊工業新聞2017年9月1 0日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
7月のホンダのグローバル生産は月として過去最高を更新した。中国でSUVの「アヴァンシア」やセダン「シビック」が好調で3カ月連続増加した。ホンダの最近のクルマの中身についてはいろいろ意見はあるだろうが、実ビジネスは徐々に好転しているように感じる。

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