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通常時でも食べたい?非常食、おいしくなってバリエーションも豊富に

農水省、展示会で情報発信
通常時でも食べたい?非常食、おいしくなってバリエーションも豊富に

昨年の非常食展示会

 農林水産省は28日から北別館1階「消費者の部屋」で、災害時の食料などに関する展示会を開く。レトルト米飯やアルファ米、ロングライフ牛乳、缶詰、フリーズドライ食品などの非常食や、防災セットを展示する。災害時の食料確保や備蓄に関心を高めてもらうのが狙い。展示会は2016年に続き2回目。豪雨災害や台風、地震などで人々の関心は高まっており「17年はネット情報発信や地方での開催も強化する」(食料安全保障室)方針だ。(編集委員・嶋田歩)

 「昨年と比べて、出展食品の風味はグンと向上している」。農水省の食料安全保障室担当者は指摘する。非常食はおいしくない、というイメージは昔の話。技術革新や成分の工夫により、保存性を維持しつつ味も良い食品が増えているという。

 非常食で多くの人が思いつくのが、飲料水や缶詰だ。これに加えて最近、増えているのがフリーズドライ食品。湯を注ぐだけで簡単に食べられ、ビタミンCなどの栄養成分も減少が少ない。

 乾パンに代わってロングライフパンも登場している。生地作りの技術で、しっとり感や風味が長期間持続する。食味向上に関し、同省は会場に「食味の良い新たな防災用保存食コーナー」を設け、紹介する。

 「緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド」小冊子もある。高齢者や乳幼児、慢性疾患などへの配慮として、やわらかくて食べやすいレトルトがゆ、育児用ミルクやベビーフードの具体的商品を列挙し、1週間分の献立例やチェックリストも掲載する。

 災害備蓄ガイドは民間のホームセンターなどで作成している例もあるが、内容が住関係に偏っていて食関連のものは少なく、「自治体や公共施設から、うちにもほしいとの引き合いが増えている」(同)。7月に新たに4万部を増刷した。

 地震や津波災害の場合は復旧期間が長いが、豪雨災害や台風でも数日間、孤立してしまうケースが地方では増えている。

 同省ではこうした実情も考慮、北海道や中国四国などの地方農政局でも非常食展示会を開催し、防災への関心を高めてもらう考えだ。地方が開催する防災展や講演会にも積極出展する。

 東京会場では、同省の職員向け備蓄食料もパネル展示する。飲料水と乾パンのセットで、5000人用3日分という。
日刊工業新聞2017年8月23日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
子供やお年寄りなどは非常食が食べずらいこともあるかと思うので、普段からたまに食べてみて慣れておく、食べやすいものを探してみるのもよいかもしれません。

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