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超高速輸送機関「ハイパーループ」の競技会、スペースXが来年開催

構想実現に向け、大学生やエンジニアのアイデア募集
超高速輸送機関「ハイパーループ」の競技会、スペースXが来年開催

ハイパーループのイメージ(コンペ公式ページから)

 2013年8月にコンセプトが公開され、ロサンゼルスーサンフランシスコ間をわずか35分でつなぐ夢の乗り物として脚光を浴びた「ハイパーループ」。構想を打ち出したイーロン・マスク氏がCEOを務める宇宙ベンチャーの米スペースXは、この超高速輸送機関で「ポッド」といわれる客車部分の設計製作コンペを2016年に実施すると15日発表した。マスク氏は自らハイパーループの建設やビジネスには関与しないことを明言しているが、その実現に向け、コンペ開催を通じてプロトタイプの開発を支援する方針だ。

 コンペでは、ロサンゼルス近郊にあるスペースXの本社近くに全長1マイル(1.6km)のテストトラックを建設し、応募者が設計製作したポッドのレース競技を来年6月に行う。コンペを通じて得られた知見はオープンソースとして公開される。

 参加できるのは、大学生、エンジニアのチームなど。9月15日が応募締め切り。8月15日にはコンペの詳細なルールや基準、ポッドが移動する「チューブ」の仕様を公開。12月15日までに最終デザインを提出し、1月9日にテキサスA&M大学で行われるイベントで、スペースXやテスラモーターズおよび大学関係者らが応募案件の審査を行う。来年6月にレースが行われるテストトラックは実物の1/2ほどのスケールで、ポッドの直径も1.2~1.5mになる見通し。レースではポッドに人を乗せない。

 ハイパーループをめぐっては、すでにテストトラックを建設しているハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズや、ハードウエアを開発するハイパーループ・テクノロジーズなど、スペースXやマスク氏とは関係のない複数のスタートアップが起業しているという。
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
シリコンバレーで現在No.1の起業家と目されるイーロン・マスク氏。ただ、電気自動車の補助金やNASAからのロケット打ち上げ受注など、官との関わりを抜きにその成長を語れないのが、スティーブ・ジョブズと大きく違う点といわれる。巨額の建設資金が必要とされるハイパーループも、実現には民間だけでなく政府の力が必要になるかもしれない。

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