自動運転車のレーダーを1チップ化、DARPAが研究開発プロジェクト

大幅に小型・低コスト化し、軍事・民生用に展開

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SWEEPERセンサーの利用イメージ(DARPA)
 グーグルなどの自動運転車で屋根の上に取り付けられ、サイレンのように高速でクルクル回転しながら周囲の物体などを常時観測しているのがLIDAR(ライダー=レーザー光を使ったレーダー)といわれる装置。非常に高価で1台百万円以上するといわれている。そこでDARPA(米国防総省国防高等研究事業局)は、半導体製造技術を応用してその機能をわずか1個のチップに小型化し、量産によりコストを大幅に下げることを目的とした「SWEEPER(スウィーパー)」プロジェクトを進行中だ。

 DARPAが資金提供し、カリフォルニア大学バークレー校、同サンタバーバラ校、マサチューセッツ工科大学(MIT)、さらに現在GMとボーイング傘下のHRLラボラトリーズ(旧ヒューズ研究所)の4機関が研究開発を担当。軍事・民生分野で自動運転車やロボット、飛行ロボット(ドローン)、各種センサー、高速データ通信などへの応用を見込んでいる。

 現在、気象観測や艦船、戦闘機などで活用されるフェーズドアレイレーダー(位相配列レーダー)について、DARPAは1960年代から開発を手がける。LIDARを1チップに盛り込む「LIDARオン・ア・チップ」を目指すこのプロジェクトでは、こうしたフェーズドアレイの技術を応用する。

 フェーズドアレイレーダーは、通常のレーダーのようにアンテナを回転させてレーダー波を照射・受信するのではなく、位相変換素子を平面に多数並べ、各素子からほんのわずかに位相の異なったレーダー波を照射し、反射してきたレーダー波を重ね合わせることで周囲の物体の位置や3次元形状を計測する。

 SWEEPERでは現在のLIDARのような機械駆動部分がないため、小型化しやすいうえ、スキャン速度をこれまでの1万倍の毎秒10万回以上に高速化でき、より精度の高い計測が行えるという。視野角については51度としている。

 一方、技術的な課題もある。通常レーダーに使われる高周波に比べて、光の波長が数千分の1と短いことだ。このため、可視光の波長の数分の1に当たる100ナノメートルを切る精度で、アレイチップを製造したり運用中の環境変動を取り除いたりする必要があるという。

ニュースイッチオリジナル

COMMENT

藤元正
モノづくり日本会議実行委員会

かたやLIDARを手がける民間企業もコストダウンに懸命に取り組んでいる。シリコンバレーのクアナジーシステムズは、2016年には名刺大のLIDARセンサーを250ドルで、さらに2018年には切手大にまで小型化し100ドルを切る価格で提供する計画を持つとされる。LIDARの小型化・低価格化が加速すれば、それだけ自動運転車やロボットの進化も期待できそうだ。

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