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アンドロイドOS生みの親のルービン氏、AI付きスマホで市場参入へ

iPhoneやグーグル「Pixel」に対抗
アンドロイドOS生みの親のルービン氏、AI付きスマホで市場参入へ

アンディー・ルービン氏(左、Redpoint Venturesのウェブサイトから)

 アンドロイドOSの生みの親として知られるアンディー・ルービン氏が新会社を立ち上げ、人工知能(AI)を組み込んだ独自開発のスマートフォンで同市場への参入を準備している、とブルームバーグが関係者の話として13日報道した。それによれば、アップルの元マネージャーやグーグル時代の同僚を採用した総勢約40人規模の「エッセンシャル(Essential)」という新会社で、アップルのiPhoneやグーグルの新型「Pixel(ピクセル)」に対抗する高級スマートフォンを開発中という。今年半ばにも発売される見通しだ。

 新会社はスマートフォンほか、スマートホーム向けなど消費者向けのハードウエア製品を手がける。1月8日までラスベガスで開催された国際家電見本市の「CES」では、ルービン氏がソフトバンクグループ傘下の米スプリント幹部を含め携帯通信会社とスマートフォンについて話し合いを持ったとされる。ルービン氏の代理人とスプリントはともに回答を辞退した。

 エッセンシャルのメーン製品となるスマートフォンはまだプロトタイプの段階とされるが、高性能に加え、ベゼル(額縁)を狭くし、スクリーン部分が大きいのも特徴。

 関係者によれば、プロトタイプの1機種は5.5インチのiPhone7Plusより本体が小さいにもかかわらず、スクリーンはそれより大きいとされる。iPhoneと同様、圧力の違いを感じる感圧式のタッチスクリーンも装備するほか、エッジ部分が金属で裏面がセラミックスという新しいデザインも試しているという。

 さらに、専用の磁石式コネクターも開発中。バッテリー充電だけでなく、このコネクターに接続できるサードパーティーのアクセサリー製品の開発を促し、iPhoneのようなエコシステムを作り上げるのが狙いのようだ。一例として、エッセンシャルではこのコネクターに接続し、360度の風景が撮影できる半球型カメラの開発にも取り組んでいるという。

生産は鴻海に


 ルービン氏は自ら創業したアンドロイド社を2005年にグーグルに売却。そのままグーグルに移り、アンドロイドOSを小さなプロジェクトから、モバイル分野で世界トップに押し上げるのに多大な貢献をした。

 2013年にアンドロイド部門からロボット部門に移り、東大発ベンチャーのシャフトや、軍事ロボットを研究する米ボストン・ダイナミクスなどロボットベンチャーの相次ぐ買収で辣腕を振るったものの、ロボット事業としては目立った成果が出せないまま、2014年にグーグルを退社した。

 その後、同氏は2015年にスタートアップインキュベーターのプレイグランド・グローバルをシリコンバレーに設立。AI、ロボット、AR(拡張現実)分野を中心にスタートアップの支援・育成を行なっている。

 プレイグラウンドはすでにHP、グーグル、シャープの親会社でアップル製品を生産する台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業、ベンチャーキャピタルのレッドポイント・ベンチャーズ、シーゲイト、テンセント(騰訊)などから合計3億ドルの資金調達に成功。エッセンシャルのスマートフォン生産についても、鴻海が手がける方向で話し合いを進めているという。
2017年1月14日付日刊工業新聞電子版
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
2015年12月4日、ほぼ1年前にも同じような話をこの場に書いていましたが、製品も事業体制もようやく形になって見えてきたということなのでしょう。iPhone、Pixel対抗機種とはいえ、OSはもちろんアンドロイドでしょうね。それと、記事にはAIについての具体的な記述がないのですが、たぶんグーグルアシスタントの機能をそのまま使うのではなく、差別化のためプレイグラウンドが支援するスタートアップのポートフォリオの中から、AIのテクノロジーを引っ張ってきて組み込むことも十分考えられます。

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