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グーグルがロボット開発のボストンダイナミクス売却検討、ブルームバーグ報道

トヨタの米国AI子会社、アマゾンなど売却先候補に?
グーグルがロボット開発のボストンダイナミクス売却検討、ブルームバーグ報道

雪の不整地を歩く新型アトラス(ボストンダイナミクスのユーチューブ映像から)

 グーグルの親会社のアルファベットが傘下のロボット開発会社であるボストンダイナミクス(マサチューセッツ州)の売却を検討しているーー。こうした驚きのニュースをブルームバーグが18日、複数の関係者の話として報道した。

 それによれば、売却先候補にはトヨタ自動車が人工知能(AI)の研究開発のために1月に米国に設立した「トヨタ・リサーチ・インスティチュート(TRI)」や、アマゾン・ドット・コムが浮上しているという。

 ボストンダイナミクスは2月下旬、雪の不整地をバランスをとりながら歩き、人間のように動きも滑らかな新型の人型ロボット「アトラス」の新型モデルについて、ユーチューブに映像を公開し、世界を驚かせたばかり。ほかにも、野外を自律的に移動する運搬用の4足歩行ロボットや、高速走行のできるチーターのようなロボットなど、高度な技術を持つ。その一方で、今後数年間は市場性のある商品が見込めないため、持ち株会社のアルファベットが売却の検討に入ったとされている。

 グーグルは2013年に、マサチューセッツ工科大学(MIT)発ベンチャーのボストンダイナミクスや東大発のシャフトなど7社程度のロボット企業を一挙に買収。アンドロイドOSの生みの親として知られるアンディー・ルービン氏がロボットプロジェクトのトップを務めていた。「レプリカント」と呼ばれたこのプロジェクトにはおよそ300人のエンジニアが配置されていたという。

 だが、2014年秋にカリスマのルービン氏が退社してから事情が一変。プロジェクトの求心力が失われ、サンフランシスコやボストン、東京などにオフィスが分散していることも含め、プロジェクト内部での連携がうまくいかなかったと言われている。2015年12月にはロボット部門の立て直しのため、レプリカントを秘密研究機関のグーグルX(現在はただの「X」)に移管したが、ボストンダイナミクスはXに編入されずにいた。

「チーター」ロボット


「ペットマン」


運搬用のロバロボット「LS3」


犬型ロボット「スポット」
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藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
2月の新型アトラスの動画が公開された後、「まるで人間のようですごい」という賞賛の一方、「怖い」「人の職を奪うことになる」といったネガティブな反応も多数あった。アルファベットの側では、こうした世間の反応に不安感を持ったともされる。そうしたことも売却に踏み切る一因となったのかもしれない。

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