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国公私立大の研究力強化を支援する文科省新制度、骨子が示した5つのイメージ

文部科学省は「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業」の基本方針と制度骨子をまとめた。大学が同事業に単独で申請できる点や、不足する資源や課題に応じて大学間で連携することが可能な点を明示。特定研究テーマでの規模拡大や、スタートアップ(SU)創出にたけた都市部大学との連携など五つのイメージを挙げた。同事業は国際卓越研究大学制度と両輪をなしており、相当数の大学の応募が予想されている。

地域中核・特色ある研究大学強化促進事業は、国公私立大学が研究力強化に向けて資源を集中投下して進める取り組みを支援するのが狙い。特定学術領域の発展、イノベーション創出、地域課題解決に関する機能強化を目指す。文科省の「世界トップレベル研究拠点プログラム」(WPI)、「共創の場形成支援プログラム」の採択案件は有力候補とされる。

提案は1大学につき1件。提案を出した他大学と連携し、経費配分を受けることもできる。国際卓越研究大学に応募中の大学は同事業への提案ができないが、経費配分を受けずに協力することは可能だ。

主な連携のパターンは、次の通りだ。①規模拡大に向け特定の研究分野で強みを持つ国内外の大学同士②ライフサイエンスなど基礎研究の大学と病院を持つ大学③地理的に近く共通の自然環境などを別の強みで生かす大学同士④基礎研究の地域大学とSU創出で優れた都市部大学⑤弁理士など産学官連携の専門人材を共有する大学同士。

支援は1件当たり最大55億円(人件費など25億円、研究機器購入で30億円。平均年11億円を5年間支給)。最大25件を採択する予定だ。

今後、日本学術振興会が事業推進委員会を設置して公募・審査を手がける。同事業に先駆け公募した施設整備事業は、4月末の採択が予定されている。

日刊工業新聞 2023年04月14日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
同事業は、概算時にはなかった『複数大学の連携』が、秋の補正予算で姿を現した。さらに「地域中核大学の場合、教育での他大学連携が進んでいるが、研究における連携とは? 共同研究を増やすだけではないだろうし…」と私もピンと来ないでいた。今回のまとめで「単独もOK」、「連携の場合のイメージはこんな感じ」と判明した。申請準備を進める各大学とも、さらに力が入ることだろう

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