東京農工大学が「部局長・副学長の半分」を女性に
東京農工大学は部局長・副学長のうち、女性比率を2027年に4割、30年に5割とする目標を掲げた。学長指名ポストだけでなく、学部長など教員の意向投票を経る選出で実現する。これに向けて40代の4人の女性学長補佐と、研究室補助の女性特任助教を組み合わせて育成する制度を実施。組織運営経験と研究実績を高め、学内構成員の後押しを得られるリーダーに育てる。女性が少数派の理系大学での踏み込んだ策として注目される。
東京農工大学が今回、ターゲットとする10ポストのうち、副学長全5人と国際研究の部局長1人は学長指名で選ばれる。従来は女性がこのポストで1人というのが最多だった。
対して農・工学研究院、生物システム応用科学府、連合農学研究科の部局長候補者4人の選考は、教員の意向投票で行われ、学長はその中から部局長を決める。女性での就任例はない。同大全学の常勤教員の女性比率は17・1%で、理系大学では高いものの、組織管理の経験が乏しく、学内ネットワークが弱いなどの壁がある。
変革するための手段として40代の女性教員とその教員の研究室向けに特任助教で採用した若手女性の“共育”施策を導入。現在は学長の側で4人の女性学長補佐が企画、研究、産学連携、入試改革の各担当をする。運営幹部職に向けた人材育成と位置付け、部局長より上位の教学統括副学長が助言者を務める。
学長補佐は同時に、部下の若手を通じた研究室での教育・研究指導で、リーダーシップや研究室実績を高める。若手は学長補佐を身近なキャリアモデルとしつつ、年齢の近い研究室学生と年長教員の間をつなぎ、研究成果創出をリードする。
日刊工業新聞 2023年03月07日
