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生産設備と物流の総合プラントシステム・エンジニアリングメーカー ―国内大手食品メーカーや海外メーカーからも高評価

理系・語学系×企業ジョブマッチング/三鈴工機
記者の目/ここに注目
□食品の生産設備から物流まで幅広く製品を展開
□東南アジアをはじめ海外にも自社製品を展開

製パンから製菓、冷凍食品まで幅広い食品産業向けに、生産設備と物流の総合プラントシステムとエンジニアリングを手がけてきた三鈴工機。1950年代にコンベヤメーカーとして産声をあげてから、1960年代から食品加工機械の開発、生産を開始。現在は総合プラントシステム・エンジニアリングメーカーとして、国内外の名だたる大手メーカーから高い支持を得ている。

同社の打田卓也社長は、「自社製品としては、海外にも納めている『クーリングコンベヤ』というスパイラル状のコンベヤがあり、フィリピンの納入先企業では、工場見学の通路で一番目立つところにあり、シンボルのようになっている」と胸を張る。オーブンから出てきたパンを冷やす工程で使われる。「特に海外で、アジアの方で認められており、現地の大手メーカーからも高い評価をいただいている」(打田社長)こうした国内外からの高い評価が、従業員のモチベーションにつながっているという。

「当社のオリジナル製品としてはこの他に、ドライカプセルという、コンビニなどの荷下ろしで見かけるパンの入ったケースがあります。トラックから出てくるケースを洗う装置も、当社が作っています」(同)

開発からメンテナンスまで 一貫して手がける

代表取締役社長
打田 卓也さん

同社は開発から、設計、製造販売、メンテナンスに至るまで、自社で一貫して行えることを強みとしている。打田社長は「この強みをベースとして、これからも事業を展開していきたい。その中でもやはり、当社はコンベヤから事業をスタートし、国内外の大手食品メーカーにまで取引先が広がってきたことは、従業員が誇りに思える部分かと思う」と話す。

祖業であるコンベヤ関係も、自動車関係から段ボール、倉庫、物流まで幅広いところで、同社の製品やサービスが役立っている。また、同社は主に、英国や米国などの輸入機械も国内でライセンス販売し、顧客の生産ラインに機械を据え付けるところまで対応。営業部門では米国人社員が活躍するなど、国際化にも対応している。日本人でも「技術が身に付いている人であれば、外国語が話せなくても現地に行って仕事ができるし、語学が身に付いている人ももちろん歓迎する」と説明する。

2020年11月には、東京都大田区の羽田空港近くに東京事業所を立ち上げた。その狙いは、「これまでは本社のある三重県を拠点に顧客対応してきたが、東京という地の利を活かして、製品のPRや新製品開発を進めるスペースが欲しかった」からだという。東京事業所は、関東以北向けの物流拠点としても活用されている。

東京事業所内に開設した「イノベーション・ラボ」では同社の主力製品を多数展示
三重県にある本社工場

ジョブローテーションで さまざまな部署を経験

理系の新卒人材について打田社長は、「理系の学生であれば、設計や技術営業ができる人材が欲しい」という。「電機や機械系を学んでいた学生らがベスト。それ以外でも、IT系に強い人がいれば、営業やマーケティングで活躍してもらいたい」とし、仮想空間での展示会など、バーチャルによるプロモーションもできる人材を育成していく方針だ。

今後の人材育成については、「体系的、階層別に実務教育をしっかりとしていく。次のステップに向けて着実に取り組んでいる」(同)社内のOJTや研修だけでなく、社外でも国内外の展示会や他社の視察に社員を行かせるなど、見聞を広める活動にも力を入れていく。

さらに、打田社長は、「30代くらいまでに、いろいろな部署を経験してもらうジョブローテーションをやりたい。本人の希望を聞いた上で、営業に行きたければ営業、設計がやりたければ設計というように一通りのスキルを身に付けてもらえれば、どこの部署でも対応できるようになる」と青写真を描く。MMT(三鈴マイスタートレーニング制度)という独自の資格取得奨励金も支給しており、社員の学びを後押し。同社は創業100周年に向け、次代の人材育成に力を注ぐ。

理系出身の若手社員に聞く
自らが関わった稼働設備を目にして
達成感を味わえる

技術部 東京設計グループ
村尾 圭太さん
(2014年入社)

大学の紹介で、地元の会社でもあり一度見学に行ってみたら、大きな機械があり、「これは面白そうだ」と思い入社試験を受けることを決めました。入社してから2020年までは、四日市の本社で機械の設計から据え付けまでを経験し、現在は東京事業所で設計を担当しています。仕事のやり甲斐としては、自分が関わった設備が実際にお客様のラインで動いているのを見たときに、達成感を味わえるところです。社内の雰囲気としては、ゴルフやバイクなど、共通の趣味をもった社員同士が交流するなど、社員同士の仲が良い会社です。

会社DATA
所在地 三重県四日市市楠町北五味塚530
設立 1946年6月
代表者 代表取締役社長 打田 卓也
資本金 9516万円
従業員数 147人
事業内容 食品加工機械装置の開発・設計・製造・販売、物流機械装置の開発・設計・製造・販売、食品FAシステムエンジニアリング、標準コンベヤ設計、製造、販売
URL https://www.misuzukoki.jp/

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