生産ラインの効率化・省人化にチャレンジ ―生産ラインの自動化システム開発メーカーとして
記者の目/ここに注目
□世界的なEVシフトでリチウムイオン電池の生産ライン能力拡大が急務
□生産ラインを持つすべての企業が潜在顧客
EV化の波に乗り生産設備を増強する
お客様を支える

山浦 研弥さん
長野オートメーションは、製造業生産工場の自動化システム開発メーカーとして、オーダーメードの自動化生産ラインの設計/製作を手がける。1981年に創業し、2002年には中国に現地法人を設立するなど、グローバル経営を展開する。現在は、自動車業界[電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)に搭載されるリチウムイオン電池]、電池業界の引き合いが多く、受注は増加傾向にある。事業規模や業種にはとらわれず、「生産ラインを持つすべての企業が顧客になる」と山浦研弥社長は語る。
同社は、各業界の製造工程のシステム開発で培った知見を持つエンジニアが8割を占め、顧客の装置製作に活かすサイクルで事業を拡大している。生産ラインの設計から組立を一貫して手がけることで、その知見が蓄積され、さらに先輩から後輩に引き継がれて他社との差別化につながっている。エンジニアの育成には、技術教育だけでなく人間力向上教育も徹底している。一つの装置を完成させるにはすべての部署が連携する必要があり、コミュニケーションの円滑化が重要。ある部署が多忙なときは、他部署から応援に駆けつけるなど社員同士の結束力も強い。


一品一様の装置づくりの業界トップを目指すには、豊富なノウハウが求められる。同社は顧客に自動生産ラインを導入することが目的ではなく、安全で効率性の高い生産現場を提供することに注力している。このため、営業・機械設計・制御設計・組立の各部署の社員が頻繁に現地に足を運んでいる。目の前のお客様の要望に120%で応えることで、生産技術を磨き上げてきた。「取引先の生産ラインへの投資意欲の高まりから、引き合いは増すばかり」(山浦社長)であり、世界的なEVシフトや、国内の人手不足に伴う省力化や効率性を追求する生産システムの需要に応える。
離職率の低さでアイデアを蓄積

創業以来、約40年間の知識の蓄積と知見からアイデアを絞り、取引先からの多種多様な要求以上の成果を上げ、事業を拡大させてきた。その背景にあるのは離職率の低さだ。定年退職を除き、離職率は1%以下にとどまる。離職率の低さは、エンジニアの育成という点においては最大の武器となる。会社が一丸となって新人の育成に当たることで、新入社員の離職者もほとんどいない。さらに、中途採用にも積極的で事業拡大の加速にもつながっている。
同社は10年先を見据えて新しい業界への挑戦を続けている。また、生産ラインを設計・製作する企業と協業し、新しい技術開発にも乗り出している。山浦社長は「これまで自動車業界からの顧客が多かったが、医療や食品業界などからも引き合いが増えている」と述べ、今後も堅調な企業成長を確信する。
理系出身の若手社員に聞く
挑戦こそが真理!一度きりの人生だから

(信州大学卒、2012年入社)
私は機械系の学部を出て、当社の門をたたきました。入社理由は面白そうだったからです。現在は、工場の自動化を図る「ファクトリーオートメーション」に使われる自動化装置の根幹となる機械設計を手がけています。
業務では材料力学や熱力学、流体力学、機械力学が活躍します。学生時代に学んだ力学の応用系がここにあります。決められたことをやって終わりではなく、常に新しいテーマに、従来よりもブラッシュアップされた工法を考え、挑戦することが求められます。はっきり言って大変です。ただ、私の友人がつぶやいていた言葉が脳裏に残っています。「大変な仕事こそ、稼げる。大変じゃないと稼げない」これはある意味真理です。就活生の皆さんには、「この仕事は簡単ではありません。難しいことに悩む方が多いかもしれません。けれど、せっかく一度きりの人生、挑戦してみませんか」と伝えたいです。

(長野工業高等専門学校卒、 2015年入社)
効率的な生産設備にするための電気回路図を設計し、その後、制御プログラムを作成、そして、正常に動作するまでの工程を手がけています。自分でつくり上げたプログラムがロボットを動かし、そのロボットが製品を組み上げる。難しさはありますが、完成した時の喜びは大きいです。
学生時代は電子工作が好きで、当初は基板設計ができる会社を選びましたが、仕事をこなしていく中で、生産設備などに使われるプログラマブルロジックコントローラ(PLC)に出会いました。プログラムと聞くと、データが計算されるだけで仮想的なイメージが強いです。たとえばゲームでは、キャラクターがテレビ画面の向こう側で動いています。それに対し、当社で行うプログラムでは、ロボット、エアシリンダ、モータなどの実物が目の前で動きます。転職したのは、そのような動作が目に見える仕事に携わりたいと思ったからです。さらには、一つの装置を繰り返し製作するのではなく、多様なお客様向けに異なる装置を納めるという、日々新たな仕事に出会えることも当社の魅力です。
会社DATA
所在地 長野県上田市下丸子401
設立 1982年10月1日
代表者 代表取締役社長 山浦 研弥
資本金等 1億3500万円
従業員数 174名
事業内容 製造業生産工場の自動化システム開発メーカー
URL https://www.nagano-automation.co.jp/