線材加工製品の総合メーカー ― 耐食性の高い針金で業界トップシェア
記者の目/ここに注目
□働きがいを感じながら自分を成長させる「自己実現」の場
□営業・技術・製造部門が一体となったソリューション営業を展開

大西 利典さん
日亜鋼業株式会社は線材加工製品の総合メーカーで、1908年の創業以来、業界の成長、発展に大きく貢献してきた。耐食性の高い針金(メッキ線)で業界トップシェアを誇る普通線材製品、自動車部品や電線などに用いる高強度な特殊線材製品、建築構造物の鉄骨を締結するボルト製品、耐食性・防護性に優れた獣害防護柵といった三次加工製品まで、同社の商品群が日常の社会生活の中で活躍の場を広げている。
大西利典社長は、事業環境や鉄鋼市場の変化にフレキシブルに対応しながら一段と強靭な企業基盤を構築するために、「安全・品質・環境・防災・コンプライアンスの徹底追求」「つくる力と売る力の進化」「グループの総合力向上とシナジー効果発揮」「働き方改革の推進」の4つの経営方針を掲げ、グループ一丸で取り組みを進めている。
卓越したメッキ・線材加工技術と
優れた商品開発力
同社の最大の強みは「卓越したメッキ・線材加工技術と優れた商品開発力で生み出した多彩な高付加価値製品」。長年、時代のニーズに応え培った独自技術や製品は現在の業容にとって大きな財産となっている。
特に線材製品では、素材(軟鋼線、硬鋼線)×メッキ(亜鉛、亜鉛アルミ合金、三元合金)×加工(塗装・圧延・三次加工)の組合わせによる鉄鋼二次加工の一貫製造で、豊富な組合わせと各種設計を可能にする。三元合金メッキ線(タフガードシリーズ)や極厚メッキ線、カラー線といった高耐食のナンバーワン・オンリーワン商品を数多く市場に投入している。
顧客や社会のニーズに応える
ソリューション営業
同社では多彩な商品メニューと開発力を武器に、営業・技術・製造部門が一体となったソリューション営業を展開。海洋養殖の金網生簀や製紙用結束線などの用途開拓、補強土壁「ハイパープレメッシュ」の需要家との共同開発など、顧客や社会のニーズに応える形で新たな需要を創出する事業展開を実践している。
今後も時代と環境の変化に柔軟に対応し、商品開発と技術革新を積み重ね、「ソリューション営業の展開と需要開拓の推進を通じて社会の発展に貢献していく」(大西社長)考えだ。
サステナブルな社会実現への貢献と
グローバルな事業展開
同社は「メッキ技術で社会に貢献する」をキーワードに、サステナブルな社会の実現を目指している。環境にやさしい商品の提供(エコプロダクト)や、環境対策ニーズに応えるソリューションの提案(エコソリューション)、省エネ・CO2削減効果を生む製造プロセスの変革(エコプロセス)などを通じて、環境経営の指針を具現化している。


一方、成長する海外市場の需要獲得に取り組んでいる。2012年にはタイにTATA STEELグループとメッキ線の合弁会社を設立。中国では需要家との協業で自動車向けメッキ鋼線事業を展開している。両国から世界各地域へ向けた製品輸出にも拍車がかかる。
同社では、営業・技術・製造・管理部門が一体となって、顧客や社会のニーズ把握、マーケティング、商品・技術開発、営業施策、コスト改善などを検討するワーキンググループを設置。全部門が情報を共有し総力を結集して対策検討を行うことで、一層効果的なPDCA(計画、実行、評価、改善)を展開している。子会社との連携深化によるグループの総合力向上やシナジー効果の発揮も重要テーマと位置づけ推進している。
理工系出身社員に求めること
「自社や顧客先の『現場・現物』を知って課題を見つける把握力とソリューション提案力を育てて欲しい。さらに専門分野の知見のみならず、幅広い視野を持った総合的な技術力を養ってほしい。入社後は一人ひとりが仕事を通じて達成感を得て、働きがいを感じながら自分を成長させる『自己実現』の場として当社を最大限に活用してほしい」(大西社長)
理系出身の若手社員に聞く
大学で培った研究が製品開発で活かされる

山下 一晃さん
(2011年入社)
機械の導入や操業、メンテナンスおよび製品設計など多様な職域を総括的に管理する業務を担当しています。入社2年目の本社リフレッシュ工事は社業の全貌や仕事の進め方を把握する上で有用な経験になりました。業務内容は平線・フェンスなどの商品開発およびプロセス開発など多岐に渡ります。技術開発として幅広い仕事に携わることで多くの知識や技術が得られやりがいを感じています。また大学で培った工学系の基礎研究が製品開発において重要視され活動の自信に繋がっています。
会社DATA
所在地 兵庫県尼崎市道意町6‐74
設立 1952年6月(1908年7月創業)
代表者 代表取締役社長 大西 利典
資本金 107億円
従業員数 324名(2022年3月末)
事業内容 鉄鋼二次製品製造
URL https://www.nichiasteel.co.jp