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ハード・ソフト・ネットワークを融合―技術力×人間力で高品質のサービスを提供

理系・語学系×企業ジョブマッチング/KSK
記者の目/ここに注目
□半導体設計から業務システム開発、通信インフラの設計・構築まで幅広い事業領域
□チーム制を基本とした絆を強化するさまざまなエンゲージメント施策

デジタル社会の進展を追い風に ビジネスチャンスが拡大

半導体製品などの設計から、各種業務システム開発、企業のネットワーク構築・運用まで幅広いビジネスを展開するKSK。長引くコロナ禍により、行政のデジタル化や働き方改革などの新常態へのシフトは顕著に現れており、デジタル・トランスフォーメーション(DX)や5G、IoT等に関連する市場の拡大が期待されている。

牧野信之社長は「コロナ禍をきっかけに日本社会のデジタル化の遅れが明らかになり、当社にはたくさんの仕事が寄せられている。デジタル社会の構築に向けて、我々が貢献できる分野が広がっている」と話す。

代表取締役社長
牧野 信之さん

KSKの事業は多様な半導体製品・メカトロニクスの設計を手がける「システムコア事業」、システム開発・インフラ構築・システムの運用保守を担う「ITソリューション事業」、通信インフラの設計・構築・運用をカバーする「ネットワークサービス事業」が3本柱。3つの事業を融合させ、社会や顧客のニーズの変化に合わせた柔軟なビジネスを展開している。

2022年3月期の売上は10期、利益も9期連続の増収増益。好調の背景には成長分野への積極的展開が挙げられるが、最大の要因は、長年にわたって取り組んできた、技術力と人間力とのバランスが取れた人材育成システムの強化にある。

技術力と人間力のバランスが取れた 人材育成制度

KSKは人材の確保と育成をグループ経営の最重要課題の1つに位置付ける。そのため、将来の事業発展に欠かせない新卒社員などの採用活動についても積極的に推進。新卒新入社員に対しては、KSKグループ独自の研修機関「KSKカレッジ」で最新の技術動向に対応した研修を実施している。KSKの人材育成方針については、「エンジニアは技術力も大事だが、同じように人間力が必要であるという考え方が根底にある」(牧野社長)。個人が持っている技術力を成果として発揮するために、技術力と人間力のバランスの取れた指導を常に念頭に置く。

また、新卒社員一人ひとりに対しては、生活面を含めたさまざまな悩みを相談できる「アソシエイト」と、技術面を指導する「OJTリーダー」の2人が任命される。牧野社長はこうした教育システムを導入した狙いについて、「社員に孤独感を味わわせない、社員を孤立させない。そういう組織運営をしたいからだ」と力説する。

新卒社員は入社後5カ月間、ビジネスマナーやチームワーク、ITの基礎などを学んだあと、技術的な専門研修に入り各種の資格取得にチャレンジする。その後もスキルロードマップをベースとした成長に向けた一人ひとりのキャリアプランが展開される。
技術力と人間力、バランスの取れた研修制度
チーム会議は情報共有だけでなく成長の場にも

SDGsやエンゲージメントを重視した 人間中心の経営

牧野社長は「当社は関心が高まっているSDGs(持続可能な開発目標)やエンゲージメント(絆・帰属)について、SDGsが策定される10年以上前から取り組んできた。経営理念として掲げる『敬天愛人』は人間中心の経営を実践することなんです」と説明する。「良い企業風土や良い人間関係が築かれていないと、良い仕事ができない」と牧野社長が語る通り、KSKではチームで共に協力しあいながら、顧客に貢献するという姿勢を貫く。

2020年6月以降、コロナ禍での従業員の孤立化を防ぐためのエンゲージメント施策の一環として、KSKでは食べ物や飲み物を用意してオンラインで懇談するオンライン版のバーベキュー実施に対する補助金制度を導入するなど、社内コミュニケーションの活性化を支援。社員同士が褒め讃え合う「Smileカード」という仕組みが社内システムに組み込まれていたり、このほかにも仲間と同じ本を読んで相互理解を深め合う読書会などがある。また、KSKは経済産業省・東京証券取引所による「健康経営銘柄」に4年連続で選ばれ、経済産業省・日本健康会議が共同で選出する「健康経営優良法人(ホワイト500)」にも6年連続で認定された。牧野社長は「これからも社員の健康維持と生産性の向上の同時実現を図りたい」と前を向く。

理系出身の若手社員に聞く
頼れる先輩・上司と共にチームで仕事ができる

プラットフォームエンジニアリング事業部
中山 幸聡さん
(2017年入社)

ネットワークインフラの設計や技術情報のコンサルテーションをしています。入社後にネットワークインフラの構築や検証などを担当した後、2019年6月に現職に就き、昨年からチームリーダーを任されています。入社後に社内の資格取得奨励制度を活用し「仮想化」に関する資格を取得しました。実装が難しいと言われた(お客様からの)要求に応えられた時は、やり甲斐を感じます。当社の魅力は「チーム制」です。頼れる先輩・上司に囲まれた環境で成長することができ、実際に社員一人ひとりを孤独にさせないという風土を強く感じています。

会社DATA
所在地 東京都稲城市百村1625-2
(拠点:日本橋・新宿・川崎・さいたま・浜松・ 刈谷・関西・熊本)
設立 1974年5月
代表者 代表取締役会長 河村 具美
    代表取締役社長 牧野 信之
資本金 14億4846万円
従業員数 2396人(連結 2022年9月)
事業内容 システムコア事業、ITソリューション事業、ネットワークサービス事業
URL https://www.ksk.co.jp/

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