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千葉大が取得した3万㎡で構想する「産学・地域連携拠点」の全容

千葉大が取得した3万㎡で構想する「産学・地域連携拠点」の全容

産学・地域連携拠点の整備予定地に隣接する西千葉キャンパス

千葉大学は、西千葉キャンパス(千葉市稲毛区)に隣接する東京大学西千葉キャンパス跡地を産学・地域連携拠点として整備する「西千葉well―beingリサーチパーク」(仮称)構想を固めた。近隣のマンションや介護施設、商業施設とも連携し、予防医療や医療・気象のビッグデータ解析などの研究成果の社会実装を図る。共同研究する企業が入居するための建物の新設も計画している。

対象地はJR西千葉駅の近く。近接する地域では野村不動産のグループがマンションなどの開発を進めている。千葉大は2022年秋、東京大学西千葉キャンパス跡地のうち約3万平方メートルの土地を取得した。

同構想の中心となるのは、文部科学省の産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム「OPERA」で展開している「健康まちづくり」のプロジェクトだ。千葉大は生活習慣病予防に役立つ坂道配置やうつになりにくい住環境、介護ロボットに適した施設設計といったテーマで、20社超の企業などと共同研究を進めてきた。その成果を同パークに隣接する再開発住居地域を実証フィールドにして発展させる。住宅モデルルームに短期滞在する「リビングラボ」機能も効果の確認に活用する。

同大の環境リモートセンシング研究センターや治療学人工知能(AI)研究センターが取り組んでいる、ビッグデータのAI解析技術も導入する。台風被害後に増える肺疾患の制御、災害予測に基づく避難誘導など、住まいやオフィスと関わる内容の検証に生かす。これらのテーマでの大学発スタートアップ(SU)輩出も目指す。

日刊工業新聞 2023年1月19日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
国立大学の土地は、2004年度の法人化時に国から譲渡の形となったものが持分で、所有の移転も私立大学ほど容易ではない。それだけに隣接の東大生産技術研究所の跡地(生研の大部隊はだいぶ前に、六本木から駒場Ⅱキャンパスに移転。一部は西千葉にあったが、少し前に柏キャンパスへ移転が完了した)を取得できたのは幸いだ。民間の大型開発の計画が、OPERAの実証に活用できるのも魅力的。駅から近いだけに今後の発展性がかなり期待できるのではないか。

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