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独自プログラム開講、東洋大は「ビジネス日本語教育」の雄になれるか

“好待遇の就職”へ支援

東洋大学は外国人向けのビジネス日本語教育を強化し、同大のブランドの一つにする。留学生のキャリア構築には日本企業による採用が重要とみて、独自プログラムを開講。オンライン10日間で2万人超が受講するなど実績を上げている。文部科学省「大学の世界展開力強化事業」2022年度採択を受け、この戦略に沿った受け入れを増やす。アルバイト先で覚える会話と異なる、好待遇の就職につながる留学生の支援を進める。

東洋大は20年度から「ビジネス日本語ポイント講座」を開講。無料で、大学コンソーシアム型の「JVキャンパス」にも提供しており各回、2万人超を集める人気講座だ。

9月は手数料約10ドルの7日間コースにしたが、14回分を世界約50カ国から延べ約3300人が受講し、手応えを得た。内訳は日系企業など会社員28%、学部生27%、大学院生15%、日本語教師6%だった。国別ではベトナム、中国、イタリアなどが多く、敬語や日本企業文化などが人気だった。

同大は文科省のスーパーグローバル大学創成支援事業(SGU)に採択され、私費留学生約1700人を抱える。しかし日本での就職は日本語と企業文化理解がハードルで、半分ほどが帰国する。日本での就職増に向けて講座を継続する。

また採択された新事業は、日本語専攻を持つ11の協定校からの留学生受け入れがポイントだ。すでに基礎ができており将来、「ビジネス日本語能力テスト」で高レベルを証明できれば、国際的な高度人材として企業での活躍が期待できる。合わせて協定校において、ビジネス日本語教育に携わる講師役の育成にもつなげる計画だ。
日刊工業新聞 2022年12月22日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
日本への留学希望者向け日本語教育は、東京外国語大学などで実績が高い。同大なら、各国の日本研究の研究拠点大学とのつながりもあり、なるほどと思う。対して東洋大では、就職に結びつくビジネス日本語という切り口だ。講座の分量をみると、やや少ない気もしたが、それでも基本的なことを学べる大学の講座は貴重なのだろう。同大は私立大学の中でも、就活支援に力を掛けていると耳にしているだけに、その土台を生かしての国際的な人材育成は、同大のブランドの一つになるのではないかと感じた。

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