ニュースイッチ

研究・開発・製造の課題とスタートアップ技術のマッチングで生み出すメリット

LabBase(ラボベース、東京都千代田区、加茂倫明最高経営責任者〈CEO〉)は、研究・開発・製造分野の課題と、スタートアップ(SU)の最新技術とマッチングするサービスを始めた。データサイエンス・人工知能(AI)による検査効率化や、ロボットの実験自動化など、現場のデジタル変革(DX)の悩みなどに対応する。SUにとっては企業の新事業開発や投資とは異なる部門から、市場開拓ができるメリットがある。

この「ラボベース パートナーマッチ」ではまず、企業が研究所や工場の課題と、技術の難易度や社内の位置付け、進行状況、予算などをデータベース(DB)に登録する。次いでディープテックSUがDBにアクセスし、解決アプローチを提案する。商談は多忙な現場に配慮し、オンライン30分に絞って効率的に行う。

試行では、データサイエンス・AIや実験ロボット、3次元シミュレーション、ビジネスインテリジェンスの導入などがテーマになった。SUの技術提供から資本提携につながった例もあるという。DB登録は今後、数百件を目指す。

開発などの課題解決は従来、人的つながりによる紹介や展示会を使っていた。課題が業種・製品別から、DXなど横断的なものに変化する中、伝統的な手法では対応が難しい。またウェブ探索では、SUのニッチな技術に到達しにくかった。

同社は科学技術人材の就職・転職マッチングや、関連の月100件近いイベント開催で企業、SUとつながりが強い。新サービスを機に、研究支援プラットフォームとしての総合力を強化する。

日刊工業新聞 2022年12月08日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
研究開発の技術的な困りごとと、それを解決する技術のマッチングサイトというのは、以前からあったと思う。しかし「技術開発そのものの悩み」ではなく「DXなど手法としての悩み」と、「コンサルティングの中堅企業」ではなく「大学発などディープテックのSU」を、結びつけるという点が現代的だ。サービスは正式にはスタートさせたばかりだが、試行段階とはいえ多くの大企業から好反応を得ている様子だけに、期待ができるのではないか。なお同社は以前の社名「POL」(ポル)をサービス名「ラボベース」と統一したことから、認知度アップにつながることだろう。

編集部のおすすめ