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重点施策を公表したJST新理事長の会見で取材記者が感嘆したこと

重点施策を公表したJST新理事長の会見で取材記者が感嘆したこと

橋本氏

科学技術振興機構(JST)に1日就任した橋本和仁新理事長は当初、注力する三施策を公表した。各分野の第一人者の研究者を通じた世界的な情報収集によりシンクタンク機能を強化。リサーチアドミニストレーター(URA)のキャリア構築の仕組みを、JST職員との交流を含めて確立する。数が増大し見えにくくなった競争的資金は、終了事業から見直して10年をめどに新たな形を整備する。

橋本氏は研究者代表の立場から総合科学技術・イノベーション会議議員となり、JSTと同じ国立研究開発法人の物質・材料研究機構の理事長を務めた。そのため「(科学技術の)すべての段階でJSTと関わりがあり、研究現場と政策側をつなぐことができる」と自負している。

まず研究競争の激化や経済安全保障の問題を踏まえ、最先端の研究者が手にする国際的な情報を収集。JSTの研究開発戦略センター(CRDS)などのシンクタンク機能を強化し政策へつなげる。

研究支援人材のURAは、JST職員と重なる面があることから、全国で所属を変えながらキャリアアップする専門人材育成の仕組みづくりに乗り出す。また数多くなったJSTの支援事業を整理し、研究費配分機関(ファンディングエージェンシー)の理想形を整えていく。

日刊工業新聞 2022年4月1日の記事一部修正
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
橋本新理事長の会見は、人事公表後すぐにメディアに案内があり、開催が就任より前だったのに驚いた。普通なら組織内部との関係を優先するところだが、組織と社会との窓口になるメディアをより重視する意思を感じたからだ。途中、息つく間もなく話し続け、10兆円ファンド創設などで駆使して政治家を納得させてきた話術の力量を披露した。私が知る30年ほど前からの橋本氏と、早口のペースに変わりはないのだが、「科学技術政策で重要なことを、これほどわかりやすく話せる人は他にいないのでは」と改めて感嘆した。

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