研究者雇用を年100人純増させる東工大の秘策
東京工業大学は田町キャンパス(東京都港区)の土地活用で見込む、計2300億円の財源を使った超長期投資戦略を策定した。永続的な予算規模拡大に向けた基金を約500億円で創設。研究者ら平均的給与で年100人分の新規雇用を創出する。4月に「国際先駆研究機構」を立ち上げるすずかけ台キャンパス(横浜市緑区)をはじめ、施設・設備整備と合わせて世界トップレベルの研究力に向けた強化を図る。
東工大の「超長期投資戦略2022―2100」は田町の事業75年間で得る財源が土台だ。基金と、各800億円をあてる人材と施設・設備の投資に、先行投資分の借入金返済や大学債発行など組み合わせる。
基金は将来的なものだが、年2%運用で年10億円の果実を想定する。政府の10兆円ファンドの「国際卓越研究大学」で求められる独自基金の中身や、制度改正をにらみながら設計する。
人材強化は世界的研究者を高額年俸で雇用したり、若手・中堅研究者や研究支援人材などのポスト増で行う。バランスを見ながら年10億円分をあてる。
施設整備は、創立150周年の2031年に向けた「キャンパス・イノベーションエコシステム構想2031」が中心だ。まず大岡山キャンパス(東京都目黒区)内の施設整備で緑が丘地区を空け、田町の付属高校をここへ移す。大型研究プロジェクトは、敷地に余裕のあるすずかけ台に集約する。
これに先立ち、最先端の地球生命研究所(ELSI)や量子コンピューターのプロジェクトを抱える新機構を設立。外国人研究者らを迎えるため、建物も新設の予定だ。容積率緩和など横浜市と協議中で、3キャンパスの連動整備を進める。
日刊工業新聞2022年3月24日