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地域再生で人材育成×新産業創出に着手したリバネスの狙い

地域再生で人材育成×新産業創出に着手したリバネスの狙い

地域テックプランターのプラン発表を通じて新事業を創出する(リバネス提供)

リバネス(東京都新宿区、高橋修一郎社長)は、2022年5月に新事業創出の人材育成講座を本開講する。ベンチャー(VB)創業や投資側の切り口に加え、エコテックとフードテックにおけるJR東日本の寄付講座も入る。これをリバネスが12の県などで展開する地域の技術シーズによる創業支援と連動させる。大都市圏や著名大学と異なる、地域の人材や資源の力を引き出す総合支援で注目されそうだ。

技術による新事業の担い手を育成する「リバネスユニバーシティー」は21年12月の開講で試行、22年度から運営を本格化する。7コースのうち三つはリバネス以外も主催に入る。ヒューマノーム研究所(東京都中央区)は生命科学分野のデータ解析を取り上げる。「JREステーションカレッジ」はJR東京駅でのエコテックの試行で、20人が参加し4プロジェクトが発足した。この展開を受けて、JR新大久保駅ではフードテックで始める。

一方、リバネスの「地域テックプランター」は埋もれがちな地方大学の技術や地域資源を核に、自治体や地銀、地元企業がVB創業や新産業育成に取り組む地域エコシステム形成の支援事業だ。16年にスタートした。参加後の新たな創業VB数は45社超、研究助成金などの外部資金獲得は11億円以上と成果を挙げている。

今後は人材育成のオンライン講座に地方のキーパーソンが参加したり、講座受講者が各地でのプロジェクトに加わったり、相乗効果を引き出す。研究費支援やコミュニケーターの伴走といった同社の多様な策も後押しになりそうだ。

日刊工業新聞 2022年2月24日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
地域の産業活性化に向けて、大学を中心に据え、VBなどによる新産業を生み出すと同時にその担い手も育成する活動は、政府の後押しが欠かせないと思っていた。今なら内閣府が進める「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」が注目だが、これはどちらかというと、大きな地方都市と研究重視の国立大学に力が注がれそうだ。それだけに自身は東京を本拠地とする個性的なリバネスが、これほど各地に足を深く踏み入れていることに驚いた。いずれ「内閣府支援は厳しそう…」となってくる多くの第二都市、第三都市の地域が、新たな顧客になってくるかもしれない。

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