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ビズリーチが100校に倍増、学生と卒業生をつなぐ大学別サイトの面白さ

ビズリーチは各大学別サイトで学生と卒業生をつなぐ「ビズリーチ・キャンパス」で、現在44校の開設実績を今後3年間で100校にする。個人的なOB・OG訪問はハラスメントの危険があるが、同サービスは24時間チャット有人監視など安全性が高い。商社やITの大企業などによる窓口一本化ニーズや、立命館大学など大学の「公認」により、中小規模大学の関係者の関心も高まっており、倍増を目指す。

ビズリーチ・キャンパスは卒業生の個人ボランティアが大学別に一定数、集まると同社がサイトを開設する仕組み。学生の希望を受け、同窓の先輩が個別にキャリア相談やOB・OG訪問に応じる。オンライン通話などで、やりとりを監視し対面は禁止している。

採用を期待する企業の場合は公認の卒業生社員を参加させ、対面はオフィスで可能だ。利用料は企業側に発生する。

就職活動時の対面はハラスメントが生じやすい問題がある。オンライン監視の同社サービスなら安全性が高く、低学年から多様なロールモデルに接することができる。企業や学生から、同サービスの希望がキャリアセンターに寄せられる例も出ている。学生に活用を促す大学の公認は、津田塾大学と立命館大で実現した。

同サービスは2016年スタート。学風重視の大学別の設定が他社におけるサービスとの違いだ。登録の学生数は10万6000人以上、卒業生数は5万6000人以上。旧帝大や大規模私立大、社員の約1000人登録の大手商社などで人気が上がった。伝統的なマッチングは、企業からキャリアセンターに提供されるリストを使い、コピー紛失のリスクがあった。

日刊工業新聞2022年2月17日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
ビズリーチ・キャンパスは大学組織としてのものではなく、同社の下に卒業生個人が集まってつくるバーチャルなキャンパス(大学)といえよう。それが評判が高まるにつれ、リアルの大学が「公認」して、活用するようになってきているというのだから、おもしろい。「大学関連のハラスメントは、研究室内のパワハラや、職員を含めてのセクハラもあるが、最も大きい(があまり表に見えてこない)のは就活に伴うもの」と別のところで耳にした。それだけに就活ハラスメントを抑える効果が確認できると、公認の動きも増えるのではないか。同社は3年で100校という目標を出したが、この中で公認がどれくらい獲得できるのか、その点にも関心を持った。

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