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積極的な資産運用で研究資金生み出す、早大がまとめた中長期計画の全容

早稲田大学は研究と財務の強化を柱とする中長期計画「WASEDA VISION 150 AND BEYOND」をまとめた。寄付は若手からの学生支援の機運を捉え、従来の仕組みを集約した「早稲田大学応援基金」を4月に立ち上げる。外国人留学生ルートでの寄付増強や、積極的な資産運用で研究資金を生み出す基金「エンダウメント」、新事業創出に向けたベンチャーキャピタルファンドの創設など手がけていく。

寄付は新型コロナウイルス感染症での学生支援で、約8カ月に8億円超を集め、このうち件数の13%が20、30代からと裾野が広がった。

新基金に再編して、元本維持で運用益を教育研究に回す仕組みを整える。

留学生の多い北米、東アジアからの、奨学金や研究向け寄付も増やす。

また余裕金で国内外の未公開株に積極投資するエンダウメントを確立。利益は研究支援と再投資で半々にし、規模を拡大していく。

研究はカーボンニュートラルが柱。強みの情報科学・人工知能、ロボット、ナノテクノロジーに加え、人文・社会科学を結集。脱炭素経営、カーボンプライシング(炭素の価格付け)なども手がける。2020年度から動かす産学連携の大規模センターも活用する。

早大は創設者・大隈重信没後100年を機に、従来の中長期計画を土台として今回、50年を見据えたプランを作成・公表した。

関連記事:早大が教育・研究財源に充てる新たな大学基金「エンダウメント」って何?

日刊工業新聞2022年1月17日
山本佳世子
山本佳世子 Yamamoto Kayoko 編集局科学技術部 論説委員兼編集委員
研究と財務の相乗効果による中長期的な強化は、政府の「世界に伍する研究大学」制度の議論の柱だ。東大は20年10月に中長期計画で、相乗効果のプランを発表。早大はこれをにらみつつ、当時から「大隈重信没後100年の会見で」といっていた。まだ他大学の動きが出ていないことから、2番手に飛び出した感がある。新制度の公募に対しても会見で、田中総長は「挑戦する」と明言した。

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